長時間労働が疑われる事業場の4割以上で「違法な長時間労働」の実態あり
労務

「時間外労働の上限規制」は働き方改革における重要な柱のひとつですが、一方で、現場における「違法残業」は後を絶ちません。こうした背景から、今後、労働基準監督署による監督指導がますます強化される見込みです。
働き方関連法施行目前、他社の状況を参考に、御社の労務管理体制の整備について、今一度見つめ直しましょう。

この記事の目次

監督指導対象の「7割」で労基法違反。送検事例は公表も

このたび厚生労働省より、平成 29 年度に長時間労働が疑われる 25,676 事業場に対して実施された、労働基準監督署による監督指導の結果が公表されました。概要は下記の通りです。


出典:厚生労働省「長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表します」

監督指導があった事業所のうち「70.3%」で何らかの労基法違反があったことが判明しました。ちなみに昨年度は「66%」とのことで、働き方改革が注目される一方、現場における状況は一層厳しいものとなっていることが分かります。違反内容のうち、最も多いのが「違法な長時間労働」であり、全体のおよそ半数の事業所において行われていました。そしてその大半で「過重労働による健康障害防止措置」が十分に講じられていないことも明らかになっています。

厚生労働省では2017年5月10日より、労働基準法等の労働基準関係法令に違反したとして書類送検を行い、企業名を公表した事例について、ウェブ上で公開する取り組みを行っています。現在では、平成29年8月1日~平成30年7月31日公表分が公開されていますが、この事案集は随時更新されています。社名公表には大きな社会的影響力がありますから、企業としては何としても避けたいところです。

参照: 厚生労働省「労働基準関係法令違反に係る公表事案」

御社の労務管理体制は、万全でしょうか?

中小企業のおける「時間外労働の上限規制」施行まで1年半、対応策は?

さて、働き方改革関連法の中で、中小企業において対応に苦慮するポイントといえば、やはり「時間外労働の上限規制」でしょう。前述の通り、労基法違反内容の第一位が「違法な長時間労働」であることからも、「長時間労働の是正」は多くの会社にとって容易に解決できない問題として立ちはだかります。

「時間外労働の上限規制」に対応するために、まずはどのようなことにとりくむべきかといえば、やはり「勤怠の適切な把握」です。自社の長時間労働の状況を正しく知ることで、初めて、対応策の検討に入ることができます。改正法の施行に合わせて、ただやみくもに「残業はするな」では現場は混乱するばかりです。そもそも残業を抑えられるような業務計画の検討を、会社主導で行っていく必要があります。そのために、「現状把握=勤怠の適正把握」は不可欠です。

御社の勤怠管理、その方法で大丈夫ですか?

今号でご紹介した平成29年度の監督指導結果では、「労働時間の管理方法」について、あいまいな労働時間管理となりがちな「自己申告制」を採用するケースが一定数存在することが明らかになっています。

出典:厚生労働省「長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表します」

厚生労働省が公開するガイドラインにある通り、「自己申告制」の場合、労働者からの自己申告があった労働時間との間に乖離が生じやすくなる傾向にあります。また、客観的な方法による記録ではないため、トラブルの原因となるケースも少なくありません。
今後の働き方改革関連法施行を見据え、会社は「勤怠管理の適正把握」を徹底するため、今のうちにタイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎とする勤怠管理方法にシフトされておくことをお勧めします。

参考:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」

勤怠の把握は、あらゆる労務管理の基礎となります。まずは足元から、しっかりと固めてまいりましょう!

まとめ

働き方改革関連法の施行を目前に控え、現場では一つひとつを確実に法に合わせていく必要があります。
「何から始めれば良いのか?」「どう改善すれば良いのか?」等のご相談は、なるべく早期に社会保険労務士までお寄せください。「知らなかった」「間に合わなかった」では済まされません。十分に時間のある今から、対応策を検討してまいりましょう。

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