雇用関係助成金申請の煩わしさのひとつに、「書類提出が原則“窓口受付”であること」が挙げられます。労働・社会保険関連において申請の電子化が進む一方、助成金関連については窓口持参の必要があり、事業主の皆様の中にはこの点をネックと捉える方も少なくないようです。
ところが2018年10月より、雇用関係助成金の計画書や申請書類等の郵送提出が可能になります。今後は必ずしも窓口に出向く必要がなくなることから、これまで以上に申請作業がスムーズになりそうです。
雇用関係助成金 平成30年10月1日より「郵送受付」開始
冒頭でも触れたとおり、雇用関係助成金の書類提出については、これまでも離島等にある事業所からの郵送が認められるケースはあるものの、原則は「窓口提出」となっています。この点、2018年10月1日以降、すべての事業所において郵送での提出が認められることになります。
雇用関係助成金の計画書や申請書の郵送受付を利用する場合には、下記の点に留意する必要があります。
■ 郵送事故の防止のため、簡易書留等、必ず配達記録が残る方法で郵送すること
■ 郵送の場合、申請期限までに到達していることが必要
■ 書類の不備や記入漏れがないよう、事前によくご確認すること
※審査によって書類の不備又は補正すべき内容が発覚した場合、期限を定めて再提出や補正が求められる
■ 初めて助成金を申請する場合など、計画書や申請書の作成方法等が不明な場合は、窓口で提出・申請をすること
※助成金申請窓口での持参による受付も継続
■ 郵送先については、厚生労働省ホームページに掲載している「雇用関係助成金郵送受付窓口一覧」 を参照すること
出典:厚生労働省「平成30年10月1日から「雇用関係助成金」関連書類の郵送受付を開始します」
今後、助成金申請を予定されている事業主様にとっては、提出書類の郵送が可能になることで、利便性が大いに向上します。ただし、不備や補正の必要があった場合には郵送での差し戻しとなり、所定の期限内に再提出・補正をしなければなりません。助成金申請に不慣れな場合、計画書や申請書類については、マニュアルを参照しながら準備しても、不備や補正がつきものです。
郵送受付が開始されて必ずしも窓口に足を運ばずに済むようになるとはいえ、やはり担当者に相談しながら提出書類の最終確認を行ったり、補正箇所へのアドバイスを受けたりする方がスムーズとなるケースは少なくないでしょう。
ご存知ですか?雇用関係助成金 平成30年度のラインナップ
SHARES経由でご相談いただく雇用関係助成金としては、雇入れ時の「トライアル雇用助成金」や“有期契約社員→正社員”への転換の際に活用可能な「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」等が大半ですが、実は雇用関係助成金の種類は多岐に渡ります。「仕事と育児・介護との両立」や「職業訓練」「雇用維持」など、あらゆる目的に応じた助成金が用意されているのです。厚生労働省の公式サイトでは「雇用関係助成金 検索表」が公開されていますので、雇用関係助成金の種類を把握するために、ぜひ一度ご確認ください。
参考:厚生労働省「雇用関係助成金 検索表」
雇用関係助成金の要件、基本は「法令遵守」
助成金申請を検討する際、事業主様、ご担当者様にまず目を向けて欲しいことは「労働基準法等の関係法令を遵守できているか」です。例えば、法定三帳簿が適切に備えられているか、労働者の労働時間や休日日数が適正か、給与が最低賃金を上回っているか、未払い残業代が生じていないか等、基本的な労務管理が徹底されていることが助成金申請の大前提となります。実際に助成金診断をさせていただくと、この「法令遵守」で引っかかってしまう会社がたくさんあります。まずは会社として当たり前のことができているかどうか、ぜひ見直してみてください。
まとめ
このたび、雇用関係助成金関連書類の郵送提出が認められるようになることで、申請作業はぐんとスムーズになります。とはいえ、雇用関係助成金の申請に向けては、様々な要件をクリアし、多岐に渡る書類を準備する必要があります。また、所定の手順通りに取り組みを進めなければ、助成の対象外となってしまうことも少なくありません。気になる助成金がございましたら、着手する前に一度、社会保険労務士へご相談ください。要件確認、スケジュール管理や取り組みに関わるサポート、申請書類作成と提出代行まで、すべて承ります。
今後は書類の郵送受付が認められるようになるため、東京以外の事業主様も、ぜひ弊事務所までお気軽にご相談いただければと思います。