昨今の働き手不足を背景に、現場においては多様な働き方が推進されています。このたび、新たに愛知労働局で実施される「ジョブペアリング」もその一つといえましょう。今後全国で広がっていくかもしれない「季節・期間限定業務への求人支援策」に注目します。
「ジョブペアリング」とは?異なる仕事同士の組み合わせで“労働力”と“雇用”を確保
「ジョブペアリング」は、季節もしくは期間に限定される仕事について、スムーズな労働力移動を狙う求人支援策のこと。各ハローワークが連携し、異なる時期に実施される期間限定雇用の求人情報、雇用期間情報を収集、相互に事業所への情報提供や労働者への職業紹介を行うことで、「季節・期間限定雇用への労働力供給」と「年間を通じた労働者の雇用確保」の実現を目指します。このたび愛知労働局が仲介役となって実施が開始されました。「果樹園での収穫」とおせち料理などの「季節限定商品の販売」は、実施時期と職種、使用者などの要素が全く異なる仕事です。しかしながら、これらの仕事に同一の労働者が従事することで、
◎ 期間雇用の労働者にとっては、時期を問わず働き続けることができる
◎ 使用者にとっては、効率良く労働力を確保することができる
といったメリットが期待できます。
もちろん、得手不得手や専門性、希望等の要件は各労働者で異なりますから、必ずしもジョブペアリングが成立するとは限りません。ですが、不安定な期間限定に安定性をもたらし、人手不足時代に人材確保に寄与する可能性を秘めた、これからの時代にぴったりな働き方といえそうです。
混同注意!「ジョブペアリング」と「ジョブシェアリング」
ところで、最近の働き方改革を追い風に、労務の世界では一見すると似通ったキーワードが数多く登場するようになりました。見出しにある「ジョブペアリング」と「ジョブシェアリング」もその一例です。事業主様や企業のご担当者様であれば、今一度、それぞれの正しい意味を理解しておく必要がありそうですね。
「ジョブシェアリング」とは、通常フルタイム勤務者が1人で担当する仕事に対し、短時間勤務者2人以上を組み合わせることで分担させる働き方のことです。一つの仕事を2人以上でシェアする「ジョブシェアリング」は、仕事と介護・育児の両立を図りたい労働者の両立支援策として、もしくは企業の雇用確保策として効果を発揮してくれます。
2つ以上の仕事に一人の労働者を従事させる「ジョブペアリング」、1つの仕事に対して2人以上の労働者をあてる「ジョブシェアリング」は、言葉の響きこそ似ているものの、考え方は大きく異なります。
有期契約労働者の就業規則、作成済みですか?
現状、雇用形態の異なる労働者の労務管理に頭を悩ませているケースも多いのではないでしょうか?特に、有期契約労働者を抱える事業所では、パートタイム労働法を基準とした労務管理を適用するケースが大半だと思いますが、有期契約労働者であってもフルタイム勤務となれば、パートやアルバイトとは異なる管理が必要となる場合があります。
参考:厚生労働省「有期契約労働者を雇用する事業主の皆様へ」
適切な労務管理を実現するためには、「雇用形態に応じた就業規則の作成」が不可欠です。 「職場にいくつも就業規則があっても、複雑になるだけ」という声を耳にすることもありますが、労務管理上、各雇用形態のルールをまとめておかれることをお勧めします。
政府主導で多様な働き方が推進される働き方改革時代、労使が正しくそれぞれの働き方の決まり事を把握することが、トラブル回避を考える上で重要となります!