突然やってくる「事業所調査」!慌てずに対応するために知っておきたいこと
労務


会社が社会保険に新規に加入してしばらく経つと、「事業所調査」というお手紙が送られてきます。このタイミングというのが、社会保険加入の手続きが終わって、いわば忘れた頃にやってくるものなので、事業主の方はどきっとするかもしれません。

また、「加入時以降の賃金台帳」など、用意が無い場合に後から作成しようとすると、非常に面倒な提出書類も多く、かつピンポイントに日にちを指定されるので困惑する方も多いようです。
ここでは、日本年金機構から突然やってくる「事業所調査」について、解説をさせていただきます。

この記事の目次

1. 無視はダメ!この調査は法律に基づいている。

この調査は、一方的に日にちを指定されてかつ書類の持参を強要されるので、失礼に感じる事業主の方も少なくありません。その気持ちは良くわかりますが、この調査は法律に基づいており、調査を依頼する側にも正当性があります。

参考;健康保険法第198条
(中略)事業主に対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該職員をして事業所に立ち入って関係者に質問し、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

また、このような依頼を無視した場合には罰則も規定されています。

参考;健康保険法第208条
(中略)六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 五 第百九十八条第一項の規定による文書その他の物件の提出若しくは提示をせず~

言わば、この調査は税務調査と性質は近いところにあります。対応は必ず行いましょう。

2. 日にちの調整は可能。無理のない日程を伝えることは問題なし。

とは言っても、日にちをピンポイントに指定されるのですが、その日にちに役所に行けないこともあります。この場合は、無理にその日のスケジュールを空ける必要はありません。

記載されている相談先の電話番号に連絡をしていただければ、「それでは、都合の良い日を指定してください」と聞かれるはずです。私の経験上では、2~3週間先で指定しても、あっさりと「承知しました」ということで日程変更ができています。どこまで引き延ばせるかということは不明ですが、堂々と無理のない日程で指定をしてください。役所側も調査に協力しようとしている人に無理なことは言わないはずです。

3. 作っていないものは無理に作る必要はない。

一般的に事業所調査で持参を依頼されるものは、以下の通りです。

1.就業規則・給与規程
2.賃金台帳
3.出勤簿
4.源泉所得税領収書
5.事業主印
6.事業所調査のご案内



困るのは指定されている書類を作っていない、というときです。この場合、過去に遡って作ることはお勧めしません。もちろん無いよりあった方が良いのですが、作っていなければ、正直にその旨を伝えてください。役所側も遡ってでも作れ、とは言わないでしょう。

1について、社員が10名未満であればそもそも作成義務が無いので提出不要です。10名以上だと作成義務があります。速やかに作成していただくという前提ですが、この調査のために完成させる、ということも無理があります。無ければ「作成中」と伝えてください。

2について、無ければ源泉徴収簿や給与明細など、給与を支払った控えが何かしらでもあれば良いです。給与計算を社労士や税理士などに依頼している場合は、そちらに作成を依頼しましょう。

3について、役員は不要です。社員については勤怠管理上あるはずなのですが、無ければ「勤怠管理の方法を検討中」ということで良いでしょう。

4~6は用意するだけのものです。ちなみに5は持ち出せないのであれば、持っていく必要もありません。

こうやって一つずつ見ていくと、書類の用意も実はそれほど手間はかからないはずです。

まとめ

事業所調査は法律に基づいて行うものなので、無視をするのは良くありません。日にちの調整も効けば、作っていないものを無理に作る必要もありませんので、速やかに対応することをお勧めします。

この調査で必ず聞かれることは「未加入の被保険者がいないか」ということです。社保適用になっていないけど、正社員と同様の働き方をしている社員やアルバイトなどがいないかどうか、今一度ご確認ください。

また、調査では、賃金台帳などでわかる給与を支払っている人数と、源泉所得税領収書に記載されている人数をチェックされます。社保加入者と未加入者のそれぞれの人数は把握しておいてください。
調査自体は、問題なければ正味10分~15分程度で終わります。大事なのは調査に協力しようとする姿勢です。気構えずに堂々と調査を受けてください。

それでも、事業所調査について、不安な点、不明な点があれば、お気軽にご相談ください。

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