【働き方改革】導入手順は?高度プロフェッショナル制度を分かりやすく解説
労務


先月開催された第148回労働政策審議会労働条件分科会にて、高度プロフェッショナル制度の概要が明らかになったことは、すでにご紹介した通りです。今号では、公開された素案を元に、高度プロフェッショナル制度の導入手順を解説することにしましょう。

参考:SHARES LAB「【働き方改革】高度プロフェッショナル制度の対象業務、厚労省が素案公開」

この記事の目次

高度プロフェッショナル制度の導入手順

高度プロフェッショナル制度の導入フローは、下記の通りです。労使委員会により必要事項を決議することが前提となっている点等、企画型裁量労働制の導入手順を踏襲するものと見てとることができます。
また、制度導入後に「休日の確保」「選択的健康確保措置」「健康管理時間の状況に応じた健康確保措置」の実施状況について、定期報告が必要となる点に特徴があります。

出典:厚生労働省『第148回労働政策審議会労働条件分科会_資料No.1 「高度プロフェッショナル制度」の導入フロー』

労使委員会の設置手順

現状、労使委員会の設置は企画業務型裁量労働制の導入企業のみ義務となっており、その他の制度設計等に伴い労使間で必要な取決めは労使協定の締結をもって行うことができます。よって、労使委員会を設置したことのある会社は、おそらくごく少数ではないかと思います。

高度プロフェッショナル制度を導入する会社では、労使委員会の設置が必要となります。ここではご参考までに、労使委員会の設置手順について触れておくことにしましょう。

Step1. 設置に当たって必要な事項について、労使間で話し合いの場をもつ


対象事業場の使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、労使委員会の設置に 係る日程、手順、使用者による一定の便宜の供与がなされる場合にあってはその在り方等に ついて十分に話し合い、定めておく

Step.2 労使各側を代表する委員を選出する


労使委員会は、労働者を代表する委員と使用者を代表する委員で構成されています。
■使用者代表委員:使用者側の指名により選出
■労働者代表委員:対象事業場の過半数労働組合又は過半数労働組合がない事業場においては過半数代表者から、任期を定めて指名を受ける

※人数については、特に規定はありませんが、労働者側委員は半数を占めていなければなりません。ただし、労使各1名の2名からなるものは「労使委員会」として認められません。

Step3. 運営のルールを定める


委員会の招集、定足数、議事その他労使委員会の運営について必要な事項を規定する運営規程を策定します。
策定に当たっては、労使委員会の同意を得ることが必要です。

このように、導入制度に関わる決議に先立ち、まずは所定の手順を踏んで労使委員会を設置することになります。

高度プロフェッショナル制度で講ずべき「健康確保措置」

高度プロフェッショナル制度では、対象労働者に対する「健康確保措置」の実施が必須です。 下記の(1)~(3)については、措置を講じていなければ労働時間等の適用除外の効果は生じず、原則に戻り、法定労働時間・割増賃金等が適用されます。
そして(4)については、措置の未実施について行政指導の対象となります。
高度プロフェッショナル制度の性質上、使用者は努めて労働者の健康確保に目を向けなければなりません。



出典:厚生労働省『第148回労働政策審議会労働条件分科会_資料No.1 「高度プロフェッショナル制度」の導入フロー』

まとめ

実際のところ、高度プロフェッショナル制度を導入する企業はさほど多くないものと思われます。しかしながら、働き方改革に伴い新設された働き方を正しく理解しておくことは、自社の働き方改革を考える上で重要です。素案段階ですが、引き続き、動向をチェックしておきましょう。

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