2020年に開催が予定される東京オリンピックに向け、各業界で着々と準備が進められています。
その一環として2018年末に策定されたのが、「小売業における多言語対応実現に向けたガイドライン」です。
現場にて直接、訪日外国人観光客の対応にあたる販売員の皆様にとっては、何かとヒントになる事項ばかりが紹介されています。
以下、画像出典・参考:
2020年オリンピック・パラリンピック大会に向けた多言語対応協議会「小売業の多言語対応ガイドライン」
小売業者の生産性向上にも寄与する、「小売業の多言語対応ガイドライン」
目的には「訪日ゲストの不便解消」、「満足度向上と小売業の国際的対応力の向上」に加え、昨今の働き方改革におけるキーワードのひとつである「生産性向上」が掲げられ、小売業の現場で幅広く活用されることが目指されています。
確かに、多言語対応がスムーズになることで、必要以上に接客に時間をとられることは少なくなり、結果的に生産性向上につながりますね。
「小売業の多言語対応ガイドライン」は、小売業であれば業種、業態、店舗の規模、地域を問わず全てを対象とする内容です。
小売業の多言語対応における第一歩は「歓迎の気持ちを伝えること」
さて、「多言語対応」における重要なポイントというと、真っ先に頭に浮かぶのが「語学力の向上」でしょう。外国人ゲストからの質問にはしっかりと外国語で受け答えできなければならない、商品の魅力を外国語でPRできなければならないと身構えるあまり、いざゲストを前にするとガチガチで何も対応できない・・・といった経験をされたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?「小売業の多言語対応ガイドライン」では、「対応の3ステップ」として、外国人ゲストの対応のポイントが示されています。
★ステップ1 歓迎の気持ちを伝える
★ステップ2 基本情報をわかりやすく伝える
★ステップ3 魅力を伝え、買物を楽しんでいただく
ガイドラインによると、最も大切なことは「笑顔で積極的にお迎えすること」とのこと。この段階で外国語能力は関係ありませんね。さらに、「店舗入口に歓迎のメッセージや訪日ゲスト向けサービスを外国語で表示しておく」等の工夫も示されており、お店作りに役立つアイディアにも触れています。
また、ステップ2として、「必ず伝えるべき情報やよく聞かれる質問についてはあらかじめ多言語表示しておくこと」が挙げられています。こうした準備によって、接客がぐんとスムーズになり、販売員の負担軽減につなげることができます。
そして、ステップ3として、実際に対面で接客する際の工夫が紹介されています。具体例として、「翻訳アプリ・バーコードを介した商品情報提供アプリなどの ICT ツール、写真や動画の活用」、「試着や試飲の提供」等の手法が挙げられ、多言語での接客が難しい場合の対応を知ることができます。
このように、何かと難しそうに感じられる多言語接客も、店内やツールの事前準備を講じておくことは可能です。十分に準備できていれば、現場のスタッフの方々にも、笑顔で対応する余裕が生まれるのではないでしょうか。
多言語対応の第一歩として、店舗での表示方法を多言語仕様に
「小売業の多言語対応ガイドライン」では、店舗における効果的な多言語表示について紹介されています。例えば店頭や店内、レジ周辺における外国語表示について、御社では対応が万全でしょうか?まずはガイドラインに挙げられる例を参考に、必要な表示の把握、現状の見直しをされてみると良いと思います。
まとめ
私たち日本人にとっては、なかなかハードルの高い「多言語対応」。しかしながら、訪日外国人観光客が着実に増加する背景を鑑みれば、言葉の問題をクリアしておくことこそが差別化や集客につながることは明らかです。また、本文でも触れたとおり、現場で働くスタッフの生産性向上にも寄与します。まずはどんなことが必要か、ガイドラインを参考に把握し、少しずつ準備を進めましょう。