毎月勤労統計の不適切調査に伴う、雇用保険・労災保険の追加給付について
労務


ニュース等で、すでに毎月勤労統計の不適切調査に関わる報道を見聞きされた方も多いのではないでしょうか? 一方で、報道を受けてもなお、一体何が問題点で、私たちにどのような影響が及ぶのか、いまいち整理しきれないケースも多いと思います。
ここでは、このたび明らかになった毎月勤労統計の不適切調査の問題点とその影響、今後の対応について、厚生労働省の基本指針に基づき解説することにしましょう。

この記事の目次

毎月勤労統計に関わる不正の内容は?

厚生労働省が行う毎月勤労統計調査とは、賃金、労働時間及び雇用の変動に関わる基幹統計調査を指します。常用労働者5人以上の事業所を対象として毎月実施する「全国調査」と都道府県別に実施する「地方調査」のほか、常用労働者1~4人の事業所を対象として年1回7月分について行う「特別調査」があります。

今回明らかになった不正は、「2004年度以降、本来全数調査するとしていたところを、一部抽出調査で行っていたこと」です。具体的には、「500名以上規模の事業所」について、東京都では、全数調査であれば1,464事業所に対して行われるはずの調査が、一部抽出の491事業所に対してしか行われていなかったことが判明しました。この結果、あらゆる保険給付算出の基礎となる統計データに誤りが生じ、給付額が少なく算定される事態に発展しています。

毎月勤労統計に関わる不正により、「雇用保険・労災保険の追加給付」が生じる可能性あり

雇用保険及び労災保険、船員保険の給付額の算出には、毎月勤労統計の平均給与額変動を基礎としたスライド率が用いられています。このため、2004年以降に雇⽤保険の給付を受給した方の一部に対し、追加給付が必要となるケースがあります。対象者の詳細は、以下の通りです。


ちなみに、以下の給付については対象となりません。

●技能習得手当(通所手当、受講手当)、寄宿手当
●移転費、求職活動支援費(広域求職活動費、短期訓練受講費、求職活動関係役務利用費)
●教育訓練給付
●日雇労働求職者給付金


追加給付の対象者・企業には書面にて連絡がいきます

追加給付の対象となる場合、ハローワークが把握する連絡先に書面を郵送し、
①追加給付の対象となっている旨
②追加給付額
③振り込み予定口座等

に関わる連絡がいきます。
ただし、住所データ等が残っていない、もしくは転居などで不明となっている場合には、本人からの申し出が必要になります。追加給付の対象になっているかどうかの確認、保険給付の受給時から氏名や住所が変更になっている場合の変更手続き等、すべて「追加給付問合わせ専用ダイヤル」が承っています。
何かあれば、まず連絡されておくことをお勧めします。


参考・出典:厚生労働省「2004年8⽉以降に⽀給された雇⽤保険関係の給付に追加給付がある可能性があります」

まとめ

2004年8月以降の保険給付が対象となるとのことで、対象となる人や企業は多くいらっしゃるものと思われます。このたびの不適切調査に伴い、雇用保険や労災保険等の給付に関わるご相談等がございましたら、些細なことでもまずは上記の問い合わせダイヤルにご連絡ください。

記事のキーワード*クリックすると関連記事が表示されます

メルマガ登録(毎週水曜配信)

SHARES LABの最新情報に加え、
経営に役立つ法制度の改正時事情報などをお送りします。