企業の「パワハラ防止義務」法制化の流れへ!今一度見直したい、現場のパワハラ防止策
労務


働き方改革の推進が目指される一方、働く人から労働局に寄せられるパワーハラスメント関連の相談件数は2017年度に全国で約7万2000件に上り、増加の一途をたどっています。
こうした背景を受け、厚生労働省は労働政策審議会分科会において、職場のパワハラの防止措置を企業に義務付けるため法整備する方針を示しました。御社では適切なパワハラ防止策が講じられているでしょうか?

この記事の目次

現段階では法規制されていない「パワハラ問題」

今号のタイトルを受け、「企業のパワハラ防止義務って法律に定められたものではなかったの?」と驚かれる方もいらっしゃるでしょう。ところが、現段階ではパワハラの関わる法規制はされていないのが現状です。類似する問題として、セクシュアルハラスメントは男女雇用機会均等法、マタニティーハラスメントは育児・介護休業法で企業への対応義務が明文化されています。

このたび厚生労働省からは、具体的なパワハラ防止措置を今後ガイドライン(指針)にまとめ、法整備が目指される方針が示されました。

企業がおさえておくべきパワハラ法制化のポイント5つ

パワハラ法制化の概要として、現段階でおさえておくべき事項は以下の5つです。

✓ パワハラ防止措置を企業に義務付け
✓ 「業務上に指導」と「パワハラ」との線引きをガイドラインに例示
✓ 悪質な企業の企業名公表
✓ 対応の難しい中小企業には政府による積極的な支援が講じられる予定
✓ 紛争が起きた場合には裁判外紛争解決手続き(ADR)の活用が可能


現場においては、相談窓口の設置や対応手順、処分規定を検討し、社内規程に盛り込んでいくことになるでしょう。

参照:厚生労働省「第13回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」

その言動、問題ではありませんか?パワハラの定義を再確認

厚生労働省の検討会が示す「パワハラの定義」は下記の通りです。

〇 優越的な関係に基づく
〇 業務上必要な範囲を超える
〇 身体的・精神的な苦痛を与える


ここで議論になるのが「業務上必要な範囲を超える」の解釈であり、企業側はかねて「指導との線引きが難しい」と主張し、パワハラの法規制に反対してきた経緯があります。
この点については、前項で触れたとおり通り、今後ガイドラインにまとめられる予定ですが、取り急ぎ、下記にてパワハラの定義や具体的な例示を確認することができます。

出典:厚生労働省「あかるい職場応援団_パワハラ対策についての総合情報サイト」
労働者、管理職、人事担当それぞれの観点から、現状を見つめ直し、パワハラ対策を考えるヒントとなります。ぜひご活用ください。

まとめ

事業者の方や管理職が「ウチの会社にパワハラなんて」と思い込んでいても、実態としてその職場に、パワハラに悩む労働者が存在するケースは珍しくありません。今後は「弊社は大丈夫」と考えずに、社内でヒアリングを行う、万が一を想定した対応策を検討しておく等の措置に目を向けましょう。労働者にとっての働きやすさを目指す観点からいえば、パワハラ防止策を講ずることは働き方改革の推進につながる行動となるはずです。

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