さて、前号に引き続き、話題は「労働保険年度更新」。今号は、2019年度の労働保険年度更新申告書作成に関わる確認項目をご紹介いたします。
年度更新のやり方については、下記をご確認ください!
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参考:SHARES LAB「【労働保険 年度更新2019】やり方を総復習&エクセルで使える「年度更新申告書計算支援ツール」をご紹介」
STEP1. 「確定保険料・一般拠出金 算定基礎賃金集計表」を正しく作成する
年度更新申告書の作成に先立ち、まずは「算定基礎賃金集計表」を作成します。集計表は、前年度分の確定保険料算定の基礎となります。算定対象となる労働者や賃金の範囲、各労働者の雇用保険被保険者資格を確認した上で、賃金台帳を元に集計していきましょう。従業員について
□ アルバイト・パートタイマー等の臨時労働者の賃金がもれていませんか?「労災保険及び一般拠出金」は常用労働者すべて、「雇用保険」は被保険者のみが対象です
□ 年度途中の退職者の賃金を含めていますか?
□ 代表者や役員(被保険者とならない)の賃金を含めていませんか?
代表者や役員報酬のみが支払われている役員は対象外です
兼務役員については、役員報酬以外の労働者としての賃金部分のみ算定賃金に含めます
□ 雇用保険の免除対象高年齢労働者の年齢に誤りはありませんか?
2019年度年度更新における免除対象高年齢労働者は下記の通りです
2018年度(確定)免除対象 1954年4月1日以前に生まれた人
2019年度(概算)免除対象 1955年4月1日以前に生まれた人
賃金について
□ 保険料算定期間中(2018年4月1日~2019年3月 31日)に支払が確定した賃金を算入していますか実際の支払いは2019年4月1日以降となる賃金を含みます
□ 算定基礎に含めるべき賃金の範囲は適切ですか?
通常の賃金はもちろん、賞与や手当等、労働の対償として支払うものすべてで、税金や社会保険料等を控除する前の支払総額を含めます
賃金とするもの、しないものの範囲は下記よりご確認ください
参考:厚生労働省「労働保険対象賃金の範囲」
その他、「確定保険料・一般拠出金 算定基礎賃金集計表」の書き方については下記をご参照ください。
参考:厚生労働省「確定保険料・一般拠出金 算定基礎賃金集計表の書き方」
STEP2. 「年度更新申告書」を作成する
「確定保険料・一般拠出金 算定基礎賃金集計表」の完成後、申告書の作成に移ります。まずはお手元の申告書について、印字事項がすべて正しいことを確認します。
□ 労働局から送られてきた申告書の印字に誤りはありませんか?
・労働保険番号
・業種番号
・労災保険料率
・雇用保険料率
・申告済概算保険料額
・領収済通知書(納付書)の住所・氏名等
《事業主の氏名又は名称及び住所、事業の種類、事業の行われる場所に変更がある場合は、「労働保険名称、所在地変更届」を提出します》
申告書書き方マニュアルでは、集計表から申告書への転記項目が解説されていますので、漏れのないように書き写していきましょう。申告書には、ご自身で算出して記入する項目もあります。
参考:厚生労働省「申告書の書き方」
以下、確認項目です。
□ 「常時使用労働者数」(④欄)「雇用保険被保険者数」(⑤欄)を記入していますか?
●常時使用労働者数
2018年度の各月末(賃金締切日がある場合は月末直前の賃金締切日)の使用労働者数の合計÷12
●雇用保険被保険者数・免除対象高年齢労働者数
2018年度の各月の被保険者数の合計÷12
※小数点以下を切り捨てた結果、「0」となる場合には「1」とします
□ 賃金総額(⑧⑫欄)は千円未満切り捨て、保険料額・拠出金額(⑩⑭欄)は一円未満切り捨てになっていますか?
□ 一般拠出金の拠出金算定基礎額(⑧(ヘ))は、労災保険の確定保険料算定基礎額(⑧(ロ))と同額になっていますか?
□ 概算保険料の保険料算定基礎額の見込み額(⑫)は、確定保険料の保険料算定基礎額(⑧)と一致していますか?
ただし、2019年度賃金総額の見込み額が以下の場合には、実際の見込み額を記入します
・ 前年度と比較し 2 倍を上回る場合
・ 2 分の 1 を下回る場合
□ 概算保険料を延納する場合、基準額に誤りはありませんか?
概算保険料総額が40万円以上(労災保険又は雇用保険のどちらか一方のみ成立している場合20万円以上)の場合、3回に分けて納付できます
※確定保険料の不足分と概算保険料総額を合算して40万円以上となる場合は、延納できません
概算保険料のみで40万円以上である必要があります
□ 延納の場合、申請欄(⑰)に納付回数を記入していますか?
□ 概算保険料を延納する場合、3で割った余りを第1期分に加算していますか(㉒(イ))?
□ 「法人番号」欄(㉛欄)を記入していますか(空欄の場合)?
個人事業主は13桁すべてに「0」を記入します
□ 「事業主」欄に、記名押印又は署名をしていますか?
□ 領収済通知書(納付書)の納付額の前に、「円(Yの横棒は一本)」マークを記入していますか?
一般的な「¥」ではなく、Yの横棒は一本です
□ 申告書の内容に誤りはありませんか?
領収済通知書の納付額を書き損じた場合、新しい用紙が必要になります(修正できません)
納付額以外の誤りは、訂正後の数字がわかるように修正して記入します
番外編. 労働保険申告書は「一段書き」の徹底にご協力ください!
労働者全員が雇用保険の被保険者である場合、下記の図にように「一段書き」にてご対応ください。 労災保険と雇用保険それぞれの欄に記入する必要はございません。参考:厚生労働省「平成31年度事業主の皆様へ(継続事業用)労働保険年度更新申告書の書き方」