「災害時の時間外労働等」に関わる許可基準が見直されました
労務


2019年4月以降、改正労働関係諸法令の施行が行われており、労働の現場は少しずつ変化してきています。そんな中、2019年6月7日付の通達では、災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に関わる新たな許可基準が示されました。本許可基準の見直しが行われるのは、旧許可基準が示された昭和26年以来、およそ70年ぶりとのことです。

この記事の目次

「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準」とは?

このたび通達によって新たに示されたのは、「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準」です。通常業務ではあまり耳慣れない文言であるため、企業の労務ご担当者の方でもいまいちピンとこないというケースは少なくないでしょう。ところが、多くの会社の就業規則には、今回のテーマである「災害時の時間外労働等」についてしっかりと記載があります。

御社の就業規則には、下記のような条文が盛り込まれていないでしょうか?

‘災害その他非常事態が発生したときは、第●条にかかわらず、時間外又は休日に労働を命ずることがある。この場合、事前若しくは事後に 所轄労働基準監督署長に許可を受け若しくは届出を行うものとする。
2.前項の時間外労働又は休日労働については、賃金規則の定めるところにより、時間外又は休日労働手当を支給する。’



この条文の「災害その他非常事態」についての解釈が、今回見直されたポイントとなります。

時間外・休日労働命令の根拠となる「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準」

実務上、会社が労働者に対して時間外・休日労働を命じることのできる根拠としては、

・締結、届出済みの労使協定(36協定)
・労働基準法第33条第1項(災害、緊急、不可抗力その他客観的に避けることのできない場合の特例)

のいずれかとなります。後者を運用する場合、労働基準監督署長の許可(事態が急迫している場合は事後の届出)により、必要な限度の範囲内に限り時間外・休日労働をさせることができるようになりますが、「災害、緊急、不可抗力その他客観的に避けることのできない場合」と認められるケースは極めて限定的となります。

それではさっそく新許可基準の内容をみていくことにしましょう。

「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準」は改正後どう変わった?

「災害その他避けることのできない事由によつて臨時の必要がある場合」の許可又は事後の承認の基準


(1)単なる業務の繁忙その他これに準ずる経営上の必要は認めないこと。

(2)地震、津波、風水害、雪害、爆発、火災等の災害への対応(差し迫った恐れがある場合における事前の対応を含む。)、急病への対応その他の人命又は公益を保護するための必要は認めること。例えば、災害その他避けることのできない事由により被害を受けた電気、ガス、水道等のライフラインや安全な道路交通の早期復旧のための対応、大規模なリコール対応は含まれること。

(3)事業の運営を不可能ならしめるような突発的な機械・設備の故障の修理、保安やシステム障害の復旧は認める が、通常予見される部分的な修理、定期的な保安は認めないこと。例えば、サーバーへの攻撃によるシステムダウンへの対応は含まれること。

(4)上記(2)及び(3)の基準については、他の事業場からの協力要請に応じる場合においても、人命又は公益の確保のために協力要請に応じる場合や協力要請に応じないことで事業運営が不可能となる場合には、認めること。


出典:厚生労働省「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準の一部改正について」

(1)では「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等」は極めて例外的な取り扱いであること、(3)ではIT時代ならではの取り扱いが盛り込まれ、明記されました。
その他、各項目に関わる留意点については下記よりご確認いただけます。上記(2)の「ライフライン」には、電話回線やインターネット回線等の通信手段が含まれる旨の記載があります。

参考:厚生労働省「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準の解釈に当たっての留意点について」

まとめ

今回のテーマは、実務上取り扱うことの少ない項目ではありますが、万が一の時には十分対応できる様、把握しておかれるべき内容です。ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

記事のキーワード*クリックすると関連記事が表示されます

メルマガ登録(毎週水曜配信)

SHARES LABの最新情報に加え、
経営に役立つ法制度の改正時事情報などをお送りします。