在宅勤務者の雇用保険加入に必要な「在宅勤務実態証明書」
労務


働き方改革の一環として、新たな働き方としてテレワークを導入された会社もあるかもしれません。オフィスを離れた働き方への対応には仕組み作りが不可欠ですが、手続き関連で意外と盲点になりがちなのが「在宅勤務実態証明書」の届け出です。

この記事の目次

主に在宅で勤務する労働者については「在宅勤務実態証明書」の届け出を

「在宅勤務実態証明書」とは、会社と在宅勤務者が請負契約ではなく、雇用関係にあることを証明するための書類です。雇用保険の被保険者資格取得の際、ハローワークから提出を求められることがあります。 雇用保険の被保険者資格は、
① 1 週間の所定労働時間が 20 時間以上であり、
② 31 日以上の雇用見込みがある場合
とされていますから、会社に出勤して上記の基準を満たせるのであれば「在宅勤務実態証明書」の提出は求められないものと考えられます。

・完全に在宅勤務のみとなる労働者
・在宅勤務と出社勤務の両方のケースがあり、出社勤務のみで週20時間の勤務を満たせない労働者


上記のいずれかに該当する労働者が雇用保険の被保険者資格を取得する場合、もしくは途中でそのような働き方に切り替わった場合には届出が必要になります。

主に「労働者性の確認」に用いられる「在宅勤務実態証明書」


出典:千葉労働局「在宅勤務雇用実態証明書」

「在宅勤務実態証明書」は、実態として労働者性があるかどうか(雇用保険の被保険者対象であるかどうか)を確認するための書類です。 様式をみると、

・就業規則の適用を受けているかどうか
・勤務時間が定められているか
・勤怠管理がされているかどうか
・毎月一定の賃金が支払われているか
・業務遂行に必要な費用負担は適正か
・兼業に関わる取決めがあるかどうか


等に関わる確認事項が記載されています。回答の内容によっては「雇用関係ではなく請負関係である」とみなされ、雇用保険の被保険者資格が得られないこともあります。

テレワーク導入に伴うポイントを確認

テレワーク導入時には、主に労務管理方法、情報通信システム・機器、テレワーカーの執務環境に関わる検討とルール作りが必要です。具体的な観点は、一般社団法人日本テレワーク協会が詳しく解説しているので、参考にされてみると良いでしょう。

参考:一般社団法人日本テレワーク協会「テレワーク導入のポイント」

まとめ

新たな働き方の導入に伴い、実務上、多岐に渡る検討や対応が必要となります。今号でご紹介した「在宅勤務実態証明書」の解説でも触れましたが、判断を誤れば、労働者性、雇用関係が否定され、労働保険の適用を受けられないといった事態につながりかねません。労務管理の専門家である社会保険労務士をご活用いただき、適正な仕組み作りを目指してまいりましょう!

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