【社会保険】今後、中小企業の短時間労働者も被保険者に。社会保険適用拡大に関わる方向性を探る
労務


健康保険・厚生年金の適用対象については、2016年10月、2017年4月と相次いで拡大されましたが、厚生労働省では今後さらなる社会保険の適用拡大の実施に向けて議論が開始されました。中小企業経営に大きな影響を及ぼしかねないテーマですので、いち早くこれからの方向性を確認しておきましょう。

この記事の目次

まずは現状の社会保険適用対象を確認

2016年、2017年の改正により、短時間労働者への社会保険適用は、現状、下記の対象にまで拡大されています。

2016年10月から


出典:日本年金機構「平成28年10月より短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大が始まります。」

2017年4月から


出典:日本年金機構「平成29年4月より短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用対象が広がります。」

現行法では、一般の中小企業における短時間労働者の社会保険加入について、「労使合意」を原則として適用対象とすることができます。この点、2019年9月2日に厚生労働省で開催された「第7回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」において、労働政策研究・研修機構(JILPT)による実態調査結果が公開されました。

✓ 労使合意に基づく任意的な適用拡大制度の存在が多くの事業所において認知されているものの、これを利用する意向を有している事業所はごく一部に留まっている。


また、同制度の利用・不利用の理由について、いずれも短時間労働者の意向を理由にあげている事業所が多かった。

「社会保険加入」は短時間労働者の処遇改善に向けた有効な手立てとなるものの、中小企業においてはまだまだ適用拡大が進まぬ現状が浮き彫りとなっています。

参考:厚生労働省「第7回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」

今後は中小企業の短時間労働者も被保険者に(企業規模要件の撤廃)

同資料では、中小企業の短時間労働者への社会保険加入について「雇用形態や企業規模の違いによって社会保険適用の有無が異なることは、働く者にとって不合理。被用者保険適用によるセーフティネット整備が重要であり、更なる適用拡大を実施すべき。」との見解が示されており、今後さらなる適用拡大に向けた検討が進められる方向性であることが明らかになっています。

同時に、社会保険適用拡大が中小企業経営にとって負の影響とならぬ様、「中小企業の負担増についてはしっかり支援すべき」との見解も示されています。
資料から読み取れるのはあくまで、社会保険適用の拡大に向けた今後の見通しであり、2019年9月末までに具体的な検討が行われることになっています。

複数事業所就業者や雇用類似のフリーランスへの対応も課題

第7回検討会では、中小企業の短時間労働者の他、複数事業所就業者や雇用類似のフリーランスに関わる社会保障に関わる議論も進められています。いわゆる副業・兼業対応については、労働時間や賃金の適正把握、事務手続きの効率化等の課題解決に向けた取り組みが講じられます。他方、フリーランスなど雇用類似の就業形態をとる労働者については、被用者性の高さに応じた社会保障の仕組みの構築が目指されることになります。

いずれも現行の制度上・実務上の課題も踏まえつつ、働き方の多様化の進展に応じた見直しを重ねながら、適切な対応が検討されることになるでしょう。

まとめ

社会保険適用対象に関わる議論は、今後ますます具体的に進められていくものと見込まれます。企業においてはこれからの動向を正しく把握した上で、人事戦略を策定していく必要があります。

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