事業所閉鎖で社員に退職してもらうときに知っておきたいこと。
労務


複数の支店、店舗、事業所を持つ会社の場合、どうしても不採算やその他の事情でその場所を閉めざるを得ない時があります。
では、そこで職場を失うことになる社員に対して、会社はどのように対処しなければいけないのでしょうか。正しく対応しなければ、最悪訴訟など余計な負担を抱え込むことになります。
ここでは、事業所閉鎖で働く場所を失う社員への対応について、解説します。

この記事の目次

1.まずは解雇回避の努力を。

前提として、事業所の閉鎖によってその方が退職せざるを得ない状況になれば、その方は会社都合で解雇されたことになります。一般的に社員を解雇するには「客観的に合理的な理由」と「社会通念上相当である」ことが求められ、この原則は事業所閉鎖の場合も適用されます。

事業所の閉鎖は合理的理由の一つではありますが、それだけでは解雇要件としては不十分です。解雇を回避すべく努力したかどうか、トラブルになれば問われることになります。

事業所の閉鎖が決まったら、最初に考えなければいけないのは、その場所で働いている方の次の働き場所を確保することです。他の支店など、別場所で働く場所があれば、できるだけそちらで働けるように準備をしてください。

2.社内で雇えなければ、しっかりとした説明と誠意を見せる。

しかし、例えば通勤できるような事業所が他に無いようなケースでは、やはり解雇通告をしなければなりません。

この場合、普通解雇と同様に会社は1ヶ月の解雇予告期間を設けるか、1ヶ月分の解雇予告手当を支払うことが求められます。

また、事業所閉鎖とはいえ、会社が解雇を回避するための努力を行ったことの説明は必ず行いましょう。具体的には、近い事業所の距離や雇用状況など、閉鎖する事業所以外で働ける可能性を提示することになります。

あるいは、他社への就職あっせんや、転職支援会社への相談など、次の仕事や生活に支障が無いように手を尽くすことも誠意を見せる方法になります。

3.やむを得ず解雇する場合は、整理解雇の4要件をクリアする。

会社の存続を維持するために、人員を削減することを整理解雇と言います。事業所閉鎖による解雇は、この整理解雇の一つと解されます。

整理解雇を行った場合、「整理解雇の4要件」によって、それが正当な解雇なのか、解雇権濫用なのかの判断が行われます。
整理解雇の4要件は以下の通りです。

①人員削減の必要性
②解雇回避努力を尽くしたこと
③解雇される者の選定方法の合理性
④手続きの合理性


①はなぜ人員削減が必要なのか、というところに理由がある、ということです。事業所閉鎖の場合は、その事業所を閉鎖する理由が明白になっていることが一つの要件になります。

②は1項で解説をした事項になります。他にも事業所の一時休業や役員報酬の減額なども回避努力の一つです。できる限りの検討を行ってください。

③は事業所閉鎖で全員が対象なら合理性がありますが、正社員だけ異動させて契約社員を整理解雇するような選別が行われれば、要件を満たしていないと判断される可能性があります。

④は2項で解説をした解雇予告などの手続きがそれに当たります。実際に労使間トラブルとなれば、その判断の際に非常に重要視される項目です。事業所閉鎖だから当然解雇とは思わず、きちんとした手続きを踏み、説明を尽くすように心がけてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
事業所閉鎖によって社員を解雇せざるを得ない場合でも、解雇を回避する努力をして、しっかりと説明を行うことによって、円滑に進めることができます。

事業所閉鎖とはいえ、社員を解雇するということは、一般的な解雇と同様に非常に慎重に行う必要があることをご理解いただけたと思います。進め方や手続きに迷うようであれば、社会保険労務士にぜひご相談ください。

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