国民健康保険組合とは何か。健康保険との違い、メリットについて解説します。
労務


国民健康保険には、全国の市区町村で運営をする地域医療保険と、建設・医師・美容・料飲・衣料など業種毎に集まって作る国民健康保険組合の2つに分けることができます。一般的に法人に属していない方は地域の国民健康保険に加入することになりますが、ある特定の業種で個人事業として営んでいる場合(及びその事業所で働いている従業員)は後者の職別国民健康保険に加入する選択肢もあります。

ここでは、健康保険と国民健康保険組合の違いについて解説をします。特に選択肢がある場合に、どちらを選ぶか参考になれば幸いです。

この記事の目次

1.法人格なら健康保険に強制加入。5名以下の個人事業主には職業によっては選択できる

まずは原則論から押さえておきましょう。事業場を作る際、事業主が最初に考えることは法人とするのか、個人事業主とするのか、ということです。ここで法人を選択した場合は、選択肢は健康保険に入るしかありません(報酬が無い場合は、地域の国民健康保険)。

事業主が個人事業として行っていく場合、ご本人は健康保険に入ることはできませんので、地域の国民健康保険か、職別の国保健康保険組合に入ることになります。

この時、その事業所に従業員がいて、かつその従業員の1/2以上が同意をすれば、従業員は健康保険に加入することも可能になります。これを任意適用と言います。任意適用をした場合でも、事業主は健康保険に加入することができません。

2.個人事業主から法人成りをするときに、国民健康保険組合に入り続けられることも

当初個人事業主として国民健康保険組合に加入して、その後に法人成りをした場合、原則的には健康保険に切り替える必要があります。

しかし、ここで「健康保険適用除外申請」をすることで、法人成りをした後でも国民健康保険組合に入り続けることができます。後述するメリットを法人成りした後も受けたいということであれば、適用除外申請を検討してください。

適用除外申請ができる要件は国民健康保険組合ごとによって違うこともありますので、検討時には、必ずご自身の加入している国民健康保険組合に適用除外の要件を確認してください。

3.国民健康保険組合のメリット、デメリットとは

国民健康保険でも健康保険でも、医療にかかれば原則自己負担3割で治療を受けられることには変わりはありません。また高額療養費や出産一時金を受け取れるところも同じになります。

では、違いはどこになるのでしょうか。
表にしてまとめてみました。

地域の国民健康保険職別の国民健康保険組合 健康保険
保険料 前年の所得ベース 給与に関係なく固定額 給与にだいたい比例
事業主負担 なし(全額本人負担) なし(全額本人負担) あり(事業主と折半
被扶養者分の負担 不要
傷病手当金・出産手当金 なし なし あり
育児休業時の社会保険料免除 なし なし あり
退職後の任意継続 なし なし あり
※規約による

まず目につくところは保険料のところでしょう。国民健康保険組合については、給与に関係なく、その方の身分(事業主か従業員か)などによって固定の保険料が決まっています。
それに対して、健康保険は給与をベースにして決まる標準報酬月額に基づいて保険料が決定されますので、給与が多いほど、保険料が高くなる仕組みです。

一つ例を挙げます。
東京美容国民健康保険組合の現在の従業員(40歳未満)保険料は14,500円+3,500円(後期高齢者支援分)=18,000円です。 事業主目線で見た場合、健康保険(東京の協会けんぽ)に加入して標準報酬月額で190,000円の給与を支給すると、負担額が18,810円(従業員負担は半額)でほぼ同等となります。
健康保険の保険料は給与に比例して上がっていきますので、この給与より高く支給すると、その分会社が払う保険料も高くなる、ということです。

一方で被扶養者の負担も見逃せません。国民健康保険には、被扶養者という概念が無いので、被扶養者の人数が多いほど、負担する保険料が多くなります。健康保険の場合は、被扶養者の要件に入れば、被扶養者が何人いても、追加で保険料を負担する必要がありません。

また、傷病手当金、出産手当金などのいわばアフターフォローについては、健康保険の方が手厚いと言えるでしょう。育児休業時の社会保険料免除も原則は健康保険だけです(規約により社会保険料免除を行う国民健康保険組合もあります)。

まとめると、事業主目線で見た場合、以下のような感じでしょうか。

国民健康保険組合…若くて被扶養者がいない従業員を抱えているケースで、保険料を抑えたいというのであれば、こちらが向いています。

健康保険…社員の欠勤や育児といったフォローを充実させたい、ということであれば、こちらが向いています。


まとめ

いかがでしたでしょうか。
国民健康保険組合と健康保険と選択できる立場になった場合、どちらが良いとは一概には言えません。それぞれのメリット、デメリットを勘案したうえで、皆さんの事業所にとって一番良いと思われる方法を選択してください。

もちろん、このような件で迷った場合は、ぜひ専門家である社会保険労務士にお気軽にご相談ください。


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