“女性のメガネ禁止”はOKなのか。経営者が考えるべき身だしなみのルールとは。
労務


先日「女性のみメガネ禁止」という会社が日本にはある、という海外の報道から、日本の男女差別の議論が再燃いたしました。メガネ禁止と言われると、あまりにも行き過ぎている感が否定できませんが、では、男性のみ着用が義務付けられているネクタイはそれで良いのか、という話はあまり聞いたことがありません。

この問題が男女差別にあたるか、という議論は置いたとしても、経営者が「身だしなみ」をどのように管理するべきなのか、という点は非常に悩ましいです。

ここでは、日本労働組合総連合会が発表した「社内ルールにおける男女差に関する調査2019」から、経営者が社員の身だしなみをどう管理するかというところを考察いたします。

この記事の目次

1.「男性のみ」「女性のみ」という規定そのものは珍しくない。規定における男女の違いそのものは容認される。

女性のメガネ禁止に合わせて、よく取り上げられるのは「#Kutoo」、つまりヒールの強要です。ヒールは見栄え重視で、長時間楽に履くのは向いていません。これを女性が圧迫されている象徴であるという文脈で話す方は少なくありません。

もちろん、#Kutooの活動を否定するつもりはなく、個人的にも好きな靴を履けば良いと思いますが、一方で男性にも、冒頭のネクタイ着用義務の他にも、長髪の禁止、ピアスの禁止、革靴の着用義務など、男性のみに課された身だしなみの義務も存在します。 暑い日に「男性はスーツで大変ね」という言葉だけで終わる会話をしたことがある会社員は多いのではないかと思います。

冒頭の社内ルールの調査では、会社に男女で異なる決まりがあると回答した方は約2割でした。また、身だしなみによって男女の違いがあることをどのように思うかという質問に対して「仕方ないと思う」が36.2%、「TPOによって変えるべき」が31.5%となっており、男女別の違いについて、ある程度は許容されると考えられているようです。

2.「顧客の印象」よりも「仕事の環境、安全、健康」に配慮する。

では、許容される範囲と、改善していくべき範囲の違いは何でしょうか。
業種によってその範囲が大きく変わるというのが前提ですが、ポイントは「その違いが印象面のみなのか、仕事に影響するのか」というところでしょう。

女性のメガネの例で言えば、それを禁止する理由はメガネが冷たい印象を与えるという、顧客から見た印象からくるものだと思われます。「それは〇〇な印象を与えるから」というのは、どこまで言っても主観によるものにすぎず、許容できる範囲は人によって差があります。

ましてやメガネは弱い視力を補うものであり、それをしないということは、仕事の安全面の問題や、コンタクトなどの着用は健康面に影響する可能性もあります。
優先すべきは労働環境であり、安全衛生なのです。

その規定をなぜしなければいけないのでしょうか。経営者の方は、その規定が主観によるものになっていないか、安全面、健康面を損なっていないか、問いかけてみてください。

3.解釈を従業員にまかせない。規定を作成したら、必ず経営者から説明を。

もちろん、就業規則に男女別の身だしなみの違いや禁止事項を載せること自体は問題ありません。業種や状況によって様々な違いがありますので、その中で最終的に身だしなみのラインを決めるのは経営者の役目です。

しかし、現場においては、身だしなみについて話し合いを行い、特に禁止事項がある場合はその理由の解釈を従業員の常識にまかせず、きちんと説明を行ってください。

特に懲戒については注意が必要です。身だしなみが就業規則にそぐわないものであれば、なぜその身だしなみがダメなのか、その従業員に説明をして納得させるのが前提です。行った注意は、後で言った言わないにならないように、書面で記録しておきましょう。それを繰り返しても身だしなみが改善されなかったときに、初めて懲戒が検討できる、ということになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
無用な労使トラブルを生み出さないためにも、男女別の身だしなみの規定は最小限に抑え、なぜそのような規定を設けているのか説明を行ってください。

社内ルールの調査では、服装規定について「最低限で良い」「本人に任せるべき」と回答した方が67%に上りました。暑い季節はクールビズが定着して、ネクタイを着用しないビジネスマンが増えています。
相手への印象に忖度するよりも、お互いが着たい服を着る方向へ社会が変わってきているように思います。

従業員の身だしなみで困ったら、お気軽に社会保険労務士にご相談ください。

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