パワハラ時代の「叱り」とは。パワハラに敏感な時代だからこそ、叱り方を考える。
労務


パワーハラスメントの話題が近年増えてきました。この問題の難しいところは、明確に指導とパワハラの境界線があるわけではなく、パワハラになる判断が人によって違うということです。

そのため、パワハラがいけないことは理解していても、逆にパワハラになることを気にしすぎて、適切な指導ができずに問題になることもあります。
ここでは、パワハラにならない注意指導をどのように行うか、という点について解説をいたします。

この記事の目次

1.パワハラの行為類型を意識する。

パワハラには厚生労働省が行為類型というものを発表しています。行為類型とは、パワハラとして扱われる行為を6つのタイプに整理しているものです。実際、このような行為があったらパワハラと認定されていますので、まずは、この基本を押さえましょう。

①身体的な攻撃(暴行・傷害)
②精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
③人間関係からの切り離し(隔離・仲間外れ・無視)
④過大な要求(明らかに不要、遂行不可能な仕事の強制、仕事の妨害)
⑤過少な要求(合理性もなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる、仕事を与えない)
⑥個の侵害(私的なことに過度に立ち入る)


このうち、①については、誰もがパワハラと認めるところでしょうが、②から⑥については、行う方は無意識にしてしまっていることも多いのではないでしょうか。する方は注意喚起を行ったつもりでも、される方はパワハラとして捉えている、ということはよくある話です。

まず叱る方としては、この6つの類型を認識して、これらに当てはまっていないかを確認しながら注意指導をする、というのが基本となります。

2.気を付けるべきことは「時間、場所、声のトーン」

では、具体的に何に気を付ければ良いでしょうか。特に気を付けていただきたいのは、「時間、場所、声のトーン」です。

時間とは、その叱っている時間の長さです。長々と叱っていないでしょうか。叱る時間が長くなればなるほど、受け取る方はそこから逃げたいという感情が強くなり、その感情がパワハラを訴える原動力となります。
また、一つの事項について、その事項にフォーカスして話をすれば、そんなに長くならないはずです。長々と注意しているということは、それだけその事項とは関係ない、人格や性格の否定につながりやすくなっている、ということです。内容にもよりますが、叱る時間はせいぜい5分~10分程度、と認識しましょう。

場所とは、例えば大勢の前で叱るというのは言わば辱めにあたる場合があります。人間は他人の目に敏感です。注意指導をどこで行うか、という点について叱る側は十分配慮する必要があるのです。

声のトーンとは、それが威嚇的になっていないかということです。叱る側はどうしても自然と声が大きくなる傾向にあります。普通に叱っているつもりでも、それをパワハラと受け取られかねません。意識して声のトーンを抑えるように注意してください。
今は気軽に録音ができる時代です。大声で叱られているシーンを録音されたら、それがどんなに正当性のある叱りでもパワハラの動かぬ証拠になってしまうのです。

3.相手の意見は、まず受け入れる。

自分が怒っているとき、相手の意見を受け入れるマインドになっていますでしょうか。それは相手も同じです。自分の意見が受け取られないまま、相手から一方的に注意をされたところで、本当の反省と注意を受け入れるマインドになることは期待できないのです。

注意の前に、なぜそのような行為をしたのか、弁明の機会を与えてください。また、その弁明が理不尽で未熟であったとしても、一通り聞いてあげるくらいの余裕は必要です。

そのうえで、「言いたいことはわかった」という理解を示してください。「気持ちとしては理解できる」「そういう考え方もあるのか」といった受け入れる言葉があると、相手がその後の話を受け入れやすくなります。甘いと思われるかもしれませんが、叱りの効果としては有効なのです。

その後に注意喚起を行い、最後に「期待している」といったポジティブな言葉で締めると、相手は前向きにその注意に向き合うことができるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
指導を行う側としては、パワハラの類型を理解しながら、叱る時間、場所、声の大きさに十分配慮して、相手の話を聞いたうえで注意を行ってください。
パワハラは行う本人が無自覚なことが多く、かつパワハラをされる方は心の病などを負い、働いている間だけでなく、人生の一生の傷を残す可能性がある行為です。それは子供がいじめをする行為と似ているかもしれません。

社内のパワハラの問題に困ったら、社会保険労務士など外部機関もぜひ活用してください。パワハラの問題は解決すべき優先課題として取り組んでいただきたいと思います。

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