70歳までの雇用・就業機会確保 7つの努力義務への具体的方針案を公開
労務


高齢者の雇用・就業機会確保については、現状65歳までの労働者を対象とする制度を「70歳」までに延長する方向で検討が重ねられています。今後、企業が講ずべき努力義務については、すでに別記事にて7つの選択肢をご紹介しました。このたび、新たに各選択肢の検討の進め方や実施すべき取り組みが公開されましたので、併せて確認しておきましょう。

参考:SHARES LAB「70歳までの雇用延長 企業への義務化はいつから?」

この記事の目次

法律上の努力義務を負うのは「60 歳まで雇用していた事業主」

2019年11月15日に開催された第90回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会で公開された資料では、70歳までの雇用・就業機会確保措置の義務を負うのは事業主について、下記の通り明記されています。

‘70 歳までの就業確保措置の責務については、65 歳までの雇用確保措置の責務が、特殊関係事業主で継続雇用される場合であっても 60 歳まで雇用している事業主にあることから、70 歳までの就業確保についても、60 歳まで雇用していた事業主が、法律上、措置を講じる努力義務を負うと解することが適当’



法律上の義務を負う事業主について、60歳まで雇用していた事業主が継続して65歳まで直接雇用するケースでは、同一事業主が対象労働者の年齢を「70歳」までに延長して対応することで問題はないかと思います。
一方、60~65歳までの雇用確保措置で「特殊関係事業主の元での雇用継続」を選択した場合、70歳までの雇用・就業機会確保措置を講じるべきは「60歳まで雇用していた事業主」となります(65歳到達時点で雇用している特殊関係事業主ではありません)。

高齢者の雇用・就業機会確保措置の決定は「労使協議」による

また、資料には、70歳までの雇用・就業機会確保に向けた措置として講じるべき内容は事業主が一方的に決定するのではなく、「労使協議」によって決められるべきである旨が盛り込まれています。

‘<労使での話し合いの趣旨>
①どの選択肢を用意するかについての話し合い
・ 70 歳までの就業機会の確保を図る上では、65 歳までとは異なり高年齢者の特性に応じた活躍のための多様な選択肢を用意することが重要である。
・ このため、どのような選択肢を用意するか労使で十分に話し合い、双方納得した選択肢を用意することが重要である。 ②複数制度を導入した場合に個人にどの制度を適用するかについての話し合い
・ 企業は複数の制度を導入した場合には、労働者個人のニーズに適した制度が利用できるよう、どの制度を利用するかについても話し合いを行う必要がある。’



「多様な選択肢を用意」した上で、「労使での話し合い」によって双方が納得できる制度の利用が目指されます。70歳という高年齢労働者の就業を検討する上では、このあたりの対応が特に重要になってくることでしょう。

70 歳までの雇用・就業機会の確保に当たり、事業主が具体的に実施すべき措置とは?

各選択肢の具体的な制度設計については現場に委ねられるポイントとなりますが、資料では基本方針案として把握しておくべき点が挙げられているので、あらかじめおさえておく必要があります。

・「定年廃止」、「定年延長」、「継続雇用制度の導入」:
65 歳までの雇用確保措置と同様のものとすることとしてはどうか

・「他の企業への再就職の実現」:
特殊関係事業主による継続雇用制度の導入と同様のものとすることとしてはどうか

・「個人とのフリーランス契約への資金提供」及び「個人の起業支援」:
定年後又は 65 歳までの継続雇用終了後に創業(フリーランス・起業)する者との間で、業務委託契約を締結する制度を創設することとしてはどうか(対象となる事業を定めることができる)

・「個人の社会貢献活動参加への資金提供」:
定年後又は 65歳までの継続雇用終了後に以下のいずれかの事業による活動に従事できる制度を創設することとしてはどうか(対象となる事業を定めることができる)
①事業主が自ら実施する事業
②事業主が委託、出資する団体が行う事業(当該団体との間で、定年後又は 65 歳までの継続雇用終了後に事業に従事させることを約する契約を締結)’


各選択肢について、概要がぐんと具体的になったのではないでしょうか?同資料では、本稿でご紹介した内容以外にも、「事業主の履行確保を図るための仕組み」等にも言及され、年明けに予定される通常国会への法案提出に向けて着々と議論が進んでいる様子が伺えます。下記より、資料全体をご確認いただけます。

以上すべての出典:
厚生労働省「第90回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会(資料)」

まとめ

70歳までの雇用・就業機会確保については当面の間、努力義務での対応となりますが、早ければ2021年4月の施行となる見込みです。現場においては折をみて、70歳までの就業を見据えた人事制度設計の見直しをされてみる必要があります。

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