実は結構誤解が多い、残業代の正しい計算方法とは。
労務


昨年末にセブンイレブン社が4.9億円の未払い残業代の存在について、公表と謝罪を行ったのは記憶に新しいところです。

公表のタイミングなど、セブンイレブン社側の問題もありますが、そもそも残業代の計算方法について、正しく理解していない会社は少なくありません。

そして、その残業代が正しいかどうかわざわざチェックする、という社員は稀であり、間違った残業代がそのまま計算され続けている会社はセブンイレブンに限らず一定数存在するのです。

ここでは、知っているようで知らない残業代の計算方法について、解説をいたします。

この記事の目次

1.残業代基礎額に含まれるもの、含まれないもの。

まずは残業1時間あたりの単価を求める必要があります。そのためには、その元になる「残業代基礎額」を正しく把握する必要があります。

残業代基礎額は、「その月に支給された給与」をすべて足すことが原則です。資格手当や役職手当など、手当関係もすべて足すのです。

ただし、例外として、以下の手当は残業代基礎額から除いて良いということになっています。

1.家族手当
2.通勤手当
3.別居手当
4.子女教育手当
5.住宅手当
6.臨時に支払われた賃金
7.1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金


これらは限定列挙です。つまり、この手当以外については、すべて残業代に基礎額に入ると認識してください。

誤解が多いのは、1ヶ月単位で支払われる歩合給や皆勤手当など、月によって変更がある賃金です。これらについても残業代基礎額に含まれます。よって、このような支給をしている会社については、残業代基礎額が月によって違ってくる可能性があるということです。

2.名前の問題ではなく、実態から判断する。

前項で限定列挙された手当についても、その手当なら無条件に残業代基礎額から除外して良いというものではありません。

これらの手当が残業代基礎額から除外をして良い理由は、1ヶ月の労働の対価として支給されるものではないからです。つまり、各手当は労働ではない理由によって金額が上下していくはずです。

例えば、住宅手当について、家賃の〇%というような決まりであれば、家賃という労働とは関係ないところで金額が上下しますので、残業代基礎額から除外して良いでしょう。しかし、「賃貸契約者には1万円」「東京都在住なら1万円」というように、一律で支給しているような場合は、住居の負担に沿っているとは言えず、よって残業代基礎額から除外することはできません。

その名前から、これらの手当を残業代基礎額から除外している会社が散見されます。その手当を残業代基礎額から除外できるかどうかは、あくまで実態から判断をしてください。

3.割増率をかけて計算をする。

残業代基礎額が決まったら、その金額を月の所定労働時間で割ります。 例をあげましょう。

月間の残業代基礎額が340,000円
1日所定労働時間が8時間(18時終業)で24時まで残業
その年度の月平均所定労働日数が21.25日の場合


月の所定労働時間は8時間×21.25日=170時間ということになります。 よって、340,000円÷170時間=2,000円がいわゆる1時間あたりの単価となります。

1日の労働時間が8時間を超えた場合、この時給に1.25倍の割増賃金を支給します。 また、22時~5時の労働は深夜割増として0.25倍をする必要があります。

上記のケースだと
2,000円×1.25倍×6時間(18時~24時)+2,000円×0.25倍×2時間(22時~24時) =16,000円
がこの日の残業代ということになります。

ちなみに、1日の所定労働時間が8時間未満の会社の場合、残業で労働時間が8時間に到達するまでは1時間あたりの単価を時間分支給しますが、割増をする必要はありません。

また、休日労働は割増賃金が1.35倍、大企業では月間60時間超の時間外労働でさらに0.25倍の割増が追加されます。
金額の端数処理について、原則は以下のどちらかです。

・1時間あたりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げる。

・1か月間における割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、上記と同様に処理する。

端数時間については、原則は1分単位の精算です。ただし、1ヶ月の残業時間を合計したときに、30分未満を切り捨て、30分以上を切り上げることは認められています。

ここに記載しているルールは最低限を示すものですので、割増率などでこのルールを上回って支給することは問題ありません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
残業代の計算で一番誤解が多いのは、残業代基礎額の扱いです。自社の残業代基礎額が正しく計算されているか、ぜひご確認をしてみてください。

残業代の計算方法について、ご質問があれば、お気軽に社会保険労務士にご相談ください。

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