自宅待機と出勤停止の違いとは。混乱しがちだけど実は違う!
労務


何か問題を起こした社員に対して、自宅待機出勤停止にすることがあります。この2つ、言葉のニュアンスが近いので混同しがちですが、実は内容が違うのです。

社員に対する処分を間違うと、せっかく処理した問題が、別のところで会社側の弱みとして再燃するリスクを背負うことになります。ここでは、混同しがちな自宅待機と出勤停止について、それぞれ解説をさせていただきます。

この記事の目次

1.自宅待機は命令、出勤停止は処分。この2つの違いを明確に。

「自宅待機」も「出勤停止」も法的に定義された言葉ではありませんが、一般的な解釈の元に定義をしておいた方が理解しやすいでしょう。

何か問題が起きたとき、調査を行ったり、懲戒内容を決めたりするまで出勤をさせない間が自宅待機です。自宅待機は処分ではなく、処分を行うまでの経過の一工程と言えるでしょう。

一方で、出勤停止は反省を促すための処分の内容そのものになります。自宅待機中に問題の調査・処分内容の検討を行い、出勤停止という処分を下します。

わかりやすく言えば、自宅待機は業務命令であり、出勤停止は懲戒処分であると言えます。

2.就業規則に記載すべき内容をチェック

自宅待機は命令ですから、処分を行わない待機(工場の機器の故障で出勤を行わせないケースなど)も想定できます。業務命令なので、就業規則上の定義がなくても実施できます。
このコラムでは、懲戒前の自宅待機に絞って解説をしています。

一方、出勤停止は懲戒であり、労使の合意ですから、就業規則の規定なしに実行することはできません。自社の就業規則を今一度見直してください。

就業規則上では、懲戒内容としての出勤停止を定めておくとともに、その期間と給与の扱いについて記します。出勤停止期間は7日程度で定めている会社が多いようですが、問題が大きかった時のことも想定して3ヶ月程度まで広げておくことをお勧めします。給与については、懲戒なので無給にできるようにしておきましょう。

なお、無給にすると労働基準法に定められる減給の制裁を超えてしまうのではないか、という議論もありますが、一般的に懲戒処分としての出勤停止で無給にすることは、ノーワークノーペイの原則に従って認められていると考えて差支えありません。(昭和23.7.3基収2177号)

3.自宅待機、出勤停止の違いのまとめ

違いをまとめると、下記のようになります。

自宅待機(懲戒処分前)出勤停止
定義業務命令懲戒処分
就業規則 無くても命令可 必須
期間 調査に必要な期間(7日程度が目安) 反省に必要な期間(最長3ヶ月程度)
賃金 状況により異なる ※1 不要 ※2
勤務時間内の呼び出しに応じる義務 有り 無し ※3
処分を受けている間の副業 可(ただし呼び出しに応じる義務があるので、少なくとも勤務時間内は実質的に不可) ※4 可 ※4
処分を受けている間の旅行 呼び出しに応じる義務があるので、実質不可

※1  以下のどちらかに該当すれば無給です。
  ①労働者を就業させない合理的理由がある場合
  (不正の再発、証拠隠滅など)
  ②就業規則に出勤停止処分に転化させることの根拠が記載されている場合
  上記に該当しない場合、「使用者の責による事由」にあたらないので、
  100%支給が原則となります。
※2  就業規則上に「無給」である旨を明記しておきましょう。
※3  出勤停止期間中に、そのプライベートまで踏み込むことはできない、
   という理由です。
※4  就業規則上に兼業を認めない規定を入れておくと、不可となります。

まとめ

自宅待機は業務命令、出勤停止は懲戒処分という違いになります。同時に実行することはできません。適切に手順を追って実行をしてください。

これまでの内容で見てきた通り、何か問題が起きた時に、出勤をやめさせて反省を促すためには、就業規則上の規定が重要であることをご認識いただけたと思います。自社の就業規則の無い会社では、10人未満でも作成することをお勧めします。就業規則がある場合でも、上記の内容が記載されているかどうか、今一度見直してください。
ご質問があれば、お気軽にご連絡ください。

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