雇用調整助成金の特例措置とは?新型コロナウイルスの影響で支給対象拡大!
労務


いよいよ全国の学校に対し、感染拡大防止を目的とした休校要請が出される等、依然として猛威をふるう新型コロナウイルス。私たちの生活に計り知れない影響を及ぼす恐ろしい感染症への対応として、政府は「雇用調整助成金」を拡充し、企業経営への影響緩和を図る旨を発表しました。

この記事の目次

「雇用調整助成金」とは?

雇用調整助成金とは、景気の変動や産業構造の変化といった事由により事業縮小を余儀なくされた事業主が、従業員の雇用を維持するために活用できる助成金です。業績悪化等により雇用継続が困難となる場合にも、従業員を解雇せず、休業や出向といった手段で雇用調整を行う際の手当の一部について、国から支給を受けることができます。

今般の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、従来の雇用調整助成金をより幅広い対象が活用できる様、特例措置が講じられています。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い「雇用調整助成金」に適用される特例措置の対象とは?

雇用調整助成金の特例措置については、すでに2020年2月14日時点で、
日本・中国間の人の往来の急減により影響を受ける事業主であって、中国(人)関係の売上高や客数、件数が全売上高等の一定割合(10%)以上である事業主
を対象に、要件緩和が講じられています。
しかしながら、2020年2月29日の首相記者会見にて示された通り、今後はさらなる対象拡大が図られる見込みです。

具体的には、
中国との関係の有無を問わず、新型コロナウイルスの影響で1ヵ月の売り上げが前の年の同じ時期に比べて10%以上減少した事業主
が特例措置の対象となってくるものと思われます。

「雇用調整助成金」の特例措置の内容(2020年3月2日時点)

特例措置として緩和されるのは、主に「事業主要件」です。まずは、従来の雇用調整助成金に係る要件を確認しましょう。

従来の雇用調整助成金の支給対象事業主

■「景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由」により、
⇒景気の変動および産業構造の変化ならびに地域経済の衰退、競合する製品・サービス(輸入を含む)の出現、消費者物価・外国為替その他の価格の変動等の経済事情の変化を指します
季節変動によるものや、事故・災害により施設または設備が被害を受けたもの、行政処分または司法処分による事業停止は対象外です

■「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、その雇用する対象労働者の雇用の維持を図るために、
⇒以下のいずれの要件も満たしている必要があります

① 売上高または生産量などの事業活動を示す指標の最近3ヵ月間の月平均値が前年同期に比べ、10%以上減少していること(生産量要件)。
② 雇用保険被保険者数および受け入れている派遣労働者の最近3ヵ月間の月平均値が、前年同期と比べ、大企業の場合は5%を超えてかつ6人以上、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上増加していないこと(雇用量要件)。

■「労使間の協定」に基づき「雇用調整(休業・教育訓練・出向)」を実施する
⇒雇用調整(休業・教育訓練・出向)の実施について労使間で事前に協定し、その決定に沿って雇用調整を実施すること

その他の事業主要件等、一般的な雇用調整助成金に関わる詳細は下記よりご確認いただけます。

参照:厚生労働省「雇用調整助成金ガイドブック」

それでは、新型コロナウイルスに係る特例措置として、緩和した事業主要件を確認しましょう。
※ただし、ここに掲載されているのは2020年3月2日時点の情報です。「中国との関係の有無を問わず、売上が減少した事業主」を含めた特例措置については、詳細が判明し次第。また改めてご紹介します。

<特例措置による変更箇所>

◎ 生産指標の確認対象期間を3ヵ月から1ヵ月に短縮
◎ 生産指標の確認対象期間を3ヵ月します
最近1ヵ月の販売量、売上高等の事業活動を示す指標(生産指標)が、前年同期に比べ10%以上減少していれば、生産指標の要件を満たします
◎ 最近3ヵ月の雇用指標が対前年比で増加していても助成対象とします
通常、雇用保険被保険者及び受け入れている派遣労働者の雇用量を示す雇用指標の最近3ヵ月の平均値が、前年同期比で一定程度増加している場合は助成対象となりませんが、その要件を撤廃します。


加えて、

◎ 通常、助成対象となる休業等を行うにあたり、事前提出が必要となる休業等計画届について、令和2年1月24日以降に初回の休業等がある計画届については、令和2年3月31日までの事後提出が可能となる
◎ 従来対象外だった事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象とする
という緩和措置が講じられます。



参照:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の影響に伴い雇用調整助成金においては特例を実施しています」

雇用調整助成金の受給額は、中小企業で「休業手当の2/3」

雇用調整助成金を申請して受給可能な額は、下記の通りです。

出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の影響に伴い雇用調整助成金においては特例を実施しています」

雇用調整助成金は、やむを得ず従業員を休業させるための活用が期待されます。円滑な受給を目指す上では、労使協定の作成・締結や計画書の作成といった作業に関しましては、社会保険労務士にお任せいただくのが得策といえましょう。

まとめ

一つ注意しておくべき点として、今号でご紹介した雇用調整助成金に関しましては、特例の要件に該当しなければ受給できないというわけではありません。冒頭で解説した通り、景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、「雇用調整助成金ガイドブック」にある従来の要件を満たすことで、特例の有無にかかわらず支給されます。

また、雇用調整助成金の特例措置については、今後、要件が変わることが見込まれます。SHARES LABでは、引き続き最新情報をご提供してまいりますので、ご確認をお願いいたします。

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