【法改正】未払賃金請求権の時効を「5年」とする改正労働基準法が成立
労務


新型コロナウイルスの感染拡大が騒がれる中、2020年4月1日の施行を目前に、企業が注目すべき重要な改正法が成立しました。
SHARES LABでもたびたび取り上げている賃金債権消滅時効の変更が盛り込まれた改正労働基準法を確認しましょう。

■参考記事:
『「「2年」→「5年」に ! 未払賃金請求の時効が見直されます」』

『賃金未払いの請求権時効が2年から3年になる見通し。残業代未払いに要注意!』

この記事の目次

2020年4月1日施行の改正労働基準法 賃金請求権の消滅時効延長に関わる要旨を確認

それではさっそく、2020年3月27日の参議院本会議にて賛成多数で可決された改正労働基準法の内容をみていきましょう。

■議案要旨
(厚生労働委員会)
労働基準法の一部を改正する法律案(閣法第一一号)(衆議院送付)要旨
本法律案は、民法の一部を改正する法律の施行に伴い、使用人の給料に係る短期消滅時効が廃止されること等を踏まえ、労働者保護の観点から、賃金請求権の消滅時効期間等を延長するとともに、当分の間の経過措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

一.労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類の保存期間について、五年間に延長する。

二.付加金の請求を行うことができる期間について、違反があった時から五年に延長する。

三.賃金(退職手当を除く。以下同じ。)の請求権の消滅時効期間を五年間に延長するとともに、消滅時効の起算点について、請求権を行使することができる時であることを明確化する。

四.一から三までによる改正後の規定の適用について、労働者名簿等の保存期間、付加金の請求を行うことができる期間及び賃金の請求権の消滅時効期間は、当分の間、三年間とする。

五.この法律は、民法の一部を改正する法律の施行の日(令和二年四月一日)から施行する。

六.この法律の施行前に労働基準法第百十四条に規定する違反があった場合の付加金の請求期間及び賃金の支払期日が到来した場合の当該賃金の請求権の消滅時効の期間については、なお従前の例による。

七.政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の規定について、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。



出典:参議院「議案情報 第201回国会(常会)」

未払賃金請求権の消滅時効は「5年」に

上記の通り、

・労働者名簿や賃金台帳等の労働関係書類の保存期間
・付加金の請求権
・賃金請求権(退職手当を除く)

の消滅時効は「5年」となり、現行法よりも延長されることになります。
ただし、経過措置として各消滅時効は「当面の間、3年」とされることになっています。

「当面の間」と部分について、現状でいつまでと断言することはできませんが、改正法施行後5年経過時点で見直される旨が明記されていますので、少なくとも2025年4月を目安に経過措置の取扱いの動向に注意する必要がありそうです。(もちろん、それ以前の経過措置撤廃もあり得ますが)

この機会に、賃金規程や勤怠管理方法の見直しを

賃金請求権の消滅時効延長により、今後将来に向かって発生する残業代等の未払賃金に係るリスクは今よりもさらに膨れ上がることになります。

現場において、まずは既に生じている未払賃金がないかどうかを確認すると共に、清算作業に取り掛かる必要があります。
併せて、今後未払賃金を生じさせないために、賃金に関わるルールや勤怠管理方法を見直し、法律上の取扱いにそぐわない部分があれば適切な形に改善しておかなければなりません。

また、労働関連書類については、経過措置の施行に関わらず、今から「5年保管」を念頭に、現行法であれば期限の切れるものについても改正法に則って保管するのが得策と言えましょう。

まとめ

法律的には問題のある社内規程や勤怠管理方法であっても、すでに現場にすっかりなじんでしまっており、新たな制度設計になかなか目を向けられないといったケースを散見します。
社内ルールの改定は大きな労力を伴うものですが、専門家である社会保険労務士をご活用いただき、職場の意識改革はもちろん、未払賃金があれば清算処理、新制度の導入とスムーズに進めてまいりましょう!

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