【法改正続報】Q&Aで確認!記録保存期間や賃金請求権の消滅時効延長に関わる実務上の取り扱い
労務


労働関係書類の保存期間、賃金請求権に関わる消滅時効延長を盛り込んだ改正労働基準法が2020年4月1日より施行となりました。 概要はすでにSHARES LABでも解説した通りですが、このたび実務上の取扱いを検討する上で役立つQ&Aが公開されましたので、確認しておきましょう。

この記事の目次

まずは確認!改正労基法施行に伴う2020年4月1日からの変更点

2020年4月1日より労基法の何がどう変わるのか、リーフレットからポイントを抜粋してご紹介しておきましょう。


出典:厚生労働省「未払賃金が請求できる期間などが延長されます」

いずれの期間も「5年」への延長が決定し、その上で当面の経過措置として「3年」となります。
「当面」については現段階で明らかにされていませんが、改正法については施行後5年経過(2025年4月)時点での見直しが予定されており、ここが一つの目安となりそうです。

賃金請求権の消滅時効の起算点は従来通り「賃金支払期日」

消滅時効を考える上では、起算点を正しく把握することが肝心です。この点、賃金請求権の消滅時効の起算点については、改正労基法施行前後で変わりはなく、「賃金支払期日」とされています。

また、このたびの消滅時効の延長については、賃金請求権の他、下記の付加金に関わる請求権についても適用されます。付加金請求権に関わる起算日は「違反があった時」とされ、具体的には「就業規則等で定められた支払期日に支払がなされなかった時」を意味します。

①解雇予告手当(労基法第 20 条第1項)
②休業手当(労基法第 26 条)
③割増賃金(労基法第 37 条)
④年次有給休暇中の賃金(労基法第 39 条第9項


なお、改正労基法施行に伴う新しい消滅時効期間は、 改正法の施行期日(令和2年4月1日)以後に
・支払期日が到来する賃金
・支払時期日が到来し、支払がなされなかった付加金

の請求権に適用されます。


改正労基法施行により保存期間の延長の対象となる記録の具体例

このたび施行となった改正労基法では、賃金請求権の消滅時効と共に、労働関係書類の保存期間の延長も焦点となっています。対象となる書類を正しく把握し、現場における取り扱いを検討しましょう。

①労働者名簿
②賃金台帳
③雇入れに関する書類
例:雇入決定関係書類、契約書、労働条件通知書、履歴書、身元引受書等
④解雇に関する書類
例:解雇決定関係書類、解雇予告除外認定関係書類、予告手当または退職手当の領収書
⑤災害補償に関する書類
例:診断書、補償の支払、領収関係書類等
⑥賃金に関する書類
例:賃金決定関係書類、昇給・減給関係書類等
⑦その他労働関係に関する重要な書類
例:出勤簿、タイムカード等の記録、労使協定の協定書、各種許認可書、始業・終業時刻など労働時間の記録に関する書類(使用者自ら始業・終業時間を記録したもの、残業命令書及びその報告書並びに労働者が自ら労働時間を記録した報告書)、退職関係書類、休職・出向関係書類、事業内貯蓄金関係書類等
⑧時間外・休日労働協定における健康福祉確保措置の実施状況に関する記録
⑨専門業務型裁量労働制に係る労働時間の状況等に関する記録
⑩企画業務型裁量労働制に係る労働時間の状況等に関する記録
⑪企画業務型裁量労働制等に係る労使委員会の議事録
⑫年次有給休暇管理簿
⑬高度プロフェッショナル制度に係る同意等に関する記録
⑭高度プロフェッショナル制度に係る労使委員会の議事録
⑮労働時間等設定改善委員会の議事録
⑯労働時間等設定改善企業委員会の議事録


併せて留意すべきは、「記録保存期間の起算日」です。
例えば、タイムカードの場合、「完結の日(賃金計算期間の締め日)」ではなく「賃金支払期日」が保存期間の起算日となります。

以上、全ての参考・出典: 厚生労働省「改正労働基準法等に関するQ&A」

まとめ

このたびの改正法に盛り込まれた各種の時効延長により、労働関係書類の電子データ化を検討する現場では助成金活用が可能です。申請に際しては細かな要件を満たす必要がありますので、社会保険労務士までお気軽にご相談ください。

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