新型コロナウイルス感染拡大で業績悪化!契約期間満了以前に有期契約労働者を解雇できる?
労務


新型コロナウイルス感染拡大に伴い、増えつつあるのが解雇のまつわるトラブル。今般の状況を鑑みれば、企業側にも事情があり解雇もやむを得ないとの見方がある一方で、不適正な取り扱いは不当解雇に該当します。とりわけ、有期雇用の労働者を契約期間満了前に解雇する場合には法律上、特に厳しく判断されるため、注意が必要です。

この記事の目次

有期労働契約の労働者の途中解雇は原則としてできない

無期契約と異なり、当初からあらかじめ労働契約期間が決まっている有期雇用の労働者については、労働契約法17条の定めにより、「使用者はやむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間の途中で労働者を解雇することはできない」とされています。

有期契約労働者の解雇に求められる「やむを得ない事由」については、正社員等の無期雇用労働者の解雇の際に求められる「客観的に合理的な理由」よりもさらに限定的であると解釈されています。

具体的には、「経営状況の悪化により廃業することとなった」等が想定されますが、この「やむを得ない事由」が事業主の経営判断にミスに起因する場合等、事業者が労働者に対し、契約で定めた期間満了までの賃金相当額の賠償責任を負わなければならないことがあります。こうした点は、業績悪化の原因のひとつに今般の新型コロナウイルス感染症の影響があったとしても、直近の経営状態により慎重に判断されるべきです。

「整理解雇の4要件の確認」と「労基法上の解雇予告」

前述の「やむを得ない事由」があったとしても、即座に有期契約労働者の解雇が認められるわけではありません。
通常の正社員の解雇同様、

✓ 整理解雇の4要件に照らし合わせてその妥当性を確認し、
・人員削減の必要性
・解雇回避の努力
・人選の合理性
・解雇手続の妥当性

✓ 労働基準法上の解雇予告手続きを経る
少なくとも30日前に解雇予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う 必要があります。

整理解雇の4要件のうち、「解雇回避の努力」についてはあらゆる観点からの検討が求められます。例えば、当該労働者の勤務先が閉店となる場合であっても、他店舗で雇用継続できる可能性があり、労働者もこれに対応できるならば、勤務先閉店を以て解雇することは権利の乱用となります。

また、法律上の手順を正しく経ることはもちろんですが、使用者はその過程において労働者に対し十分説明し、理解を得るよう努めることも重要です。

契約期間満了の場合にも要注意!適正な形で「雇止めの予告」を

このように、有期契約労働者について、契約期間満了以前の解雇を検討する上では厳正な取り扱いが求められます。とはいえ、「契約期間満了ならば問題なく雇い止めができるのか」
と言えばそうではありません。

確かに、有期労働契約の場合、契約期間を満了すれば原則として自動的に労働契約が終了することになります。ただし、次の要件に該当する有期契約労働者の契約を更新しない場合には、30日前までの予告が必要となります。

・あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されていない
・有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている(※)
※ 「1年を超えて継続して雇用されている」とは、下記のいずれかに該当する場合を指す
・1 年以下の契約期間の労働契約が更新または反復更新され、 最初に労働契約を締結してから継続して通算 1 年を超える場合
・1 年を超える契約期間の労働契約を締結している場合


参考:東京労働局「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について」

加えて、下記のケースで、雇止め(契約期間が満了し、契約が更新されないこと)に客観的・合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められないときは、雇止めが認められません。この場合、従前と同じ条件で有期労働契約が更新されます。

・反復更新の実態などから、実質的に期間の定めのない契約と変わらないといえる場合
・雇用の継続を期待することが合理的であると考えられる場合


このあたりの要件については、実態と照らし合わせて検討される必要があります。

まとめ

有期契約の労働者の解雇や雇い止めは、使用者が自由に行えるわけではなく、むしろその妥当性や要件については無期雇用の正社員の解雇以上に慎重な判断が求められます。

そして、何よりも大切なのは、労使間で十分な協議を重ね、双方が納得できる形を目指すことです。今般、企業経営を考える上では非常に厳しい状況が続きますが、だからといって、くれぐれも使用者からの一方的な解雇通知のみで手続きを終わらせることのない様、誠意ある対応を心がけてください。

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