小学校休業等対応助成金と雇用調整助成金の違いについて解説!
労務


新型コロナウィルスの感染拡大で困るのは、休校になった学校の子供を監督する保護者です。子供を一人で家に置いておくわけにもいかず、会社を休まざるを得ない状況が続いています。

厚生労働省では「小学校休業等対応助成金」を2月27日~6月30日までに子供の世話のために休まざるを得ない労働者のために支給することを決めています。

別に発表されている「雇用調整助成金」と似ているところもあります。

しかし、小学校休業等対応助成金は、労働の義務を免除する「休暇」を与えたときの支援であり、雇用調整助成金は使用者側が決定した会社の「休業」に対応する支援です。この2つは明確に違う助成金になります。

その違いを今回は解説をさせていただきます。

この記事の目次

1.保護者には「全額」の有給の特別休暇を与える。

まずは小学校休業等助成金の支給要件です。対象となる労働者は、

・小学校等(保育園、幼稚園、学童クラブなどを含む。中学校以上は障害を抱える子供の場合を除いて含みません。)が休校になっている。
・コロナに感染、あるいはその疑いのある子供の世話をしている。
・基礎疾患を抱える子供の世話をしている。

ことが条件です。

両親のうちどちらかが世話できるからと言って、もう一方が対象外になることはありません。

対象の労働者には「全額」の給与を支給する特別休暇を付与します。年次有給休暇の消化ではないので、年次有給休暇は減ることはありません。

同助成金は雇用保険に入っていないパート・アルバイトも対象になります。この場合の支給額はこれらのパートが年次有給休暇を取得したときと同額となります。 アルバイト・パートの年次有給休暇については、こちらをご参照ください。

雇用調整助成金の場合、労働者に支給する金額は「平均賃金の6割以上の休業手当」とされていますので、全額である必要はありません。特に雇用調整助成金と並行して受給を検討している会社は日によって支給金額が変わる可能性があるので注意が必要です。

2.対象となる日は原則、学校の休業日。春休み期間などは対象外。

次に対象となる日です。この助成金の目的からもわかるように、原則は学校等が休業になる日に限って対象となります。つまり、春休み期間や土日の休校日は除外になります。ただし、子供のコロナ感染などで世話をしている場合は、土日でも対象になります。

実際に申請時には、各学校の「休校のお知らせ」など休校日がわかる書類を添付します。対象者が多い会社だと、一人一人揃えるのが面倒ですが、必要な書類となりますので、早目に対象者に準備をさせてください。

小学校休業等対応助成金も雇用調整助成金も出勤簿の提出が求められます。いつが休みなのかを明示するということです。この時に小学校休業等対応助成金を使う日は「特別休暇」、雇用調整助成金を使う日は「休業日」としておきましょう。

3.小学校休業等対応助成金と雇用調整助成金は並行可能。ただし、同日で両方受けるのは不可

もちろん、両方の助成金を同時に受けることは可能ですが、同日分について両方の助成金を受けることは不可となります。必ず、対応日を分けて申請を行ってください。

また、正確には、特に雇用保険対象者は受給する金額の計算に違いがあります。小学校休業等対応助成金は「支給した金額」が基準となりますが、雇用調整助成金は昨年の雇用保険の確定保険料を計算した際の会社全体の基礎賃金が基準となります。会社によっては、大きく変わる可能性もありますのでご承知ください。

両方の助成金の共通点として、以下のようなことが挙げられます。

・雇用保険対象ではないパート・アルバイトも受給可能であること。
・日額に上限があること。(4月25日時点で8,330円)
・休業した後でも申請が可能なこと。(小学校休業等対応助成金は9月30日までに申請。雇用調整助成金は6月30日までに計画の提出が必要です。)

まとめ

いかがでしたでしょうか。
小学校休業等対応助成金と雇用調整助成金は、対応する日にちが違えば並行受給が可能です。両方の違いを理解のうえ、適切な申請をお願いいたします。

なお、両方の助成金とも、政治的判断のもと、その要件が目まぐるしく変わっているという実情があります。このコラムは4月25日時点のものを記載しておりますが、今後の変更についてぜひ注目していただきたいところです。

ご相談、ご質問は、お近くの労働基準監督署や社会保険労務士にご相談ください。

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