5月に発表された雇用調整助成金の拡充措置。結局何が変わったのかを解説。
労務


雇用調整助成金についての発表が続いています。5月1日に改めてその拡充措置が発表になりました。

政府としては、手続きの複雑さで批判の多い同助成金を簡素化して、少しでも多くの方に使ってもらうという方向で動いています。実はGW中にも申請書の変更などの動きが相次いでいました。役所は連休返上で同助成金の整備に取り組んでいた様子が窺われました。

5月1日の発表を元に、申請する側が認識しておきたい点をまとめてみました。
詳細はこちらをご参照ください。
※このコラムは5月8日時点の情報で記載しています。

この記事の目次

1、休業手当の支給率による会社負担の差がなくなった!

従来の拡充措置では、休業手当相当額の9/10が助成されるという仕組みでした。これは裏を返すと、休業手当を60%支給した場合と、100%支給した場合では、会社が負担すべき金額に差が出ます。もちろん休業手当の支給率を低く抑えた方が、会社負担額が少なくて済むことになります。

今回の拡充措置では、「60%以上の支給額には100%支給」となりました。ただでさえ難解な同助成金がさらに複雑化したようにも聞こえますが、伝えたいメッセージはシンプルなのです。
休業手当の支給率を(60%以上で)いくらに設定しても、最終的に会社が負担する金額は変わらないから、できるだけ100%支給してほしい
例を挙げると、以下のようになります。

・休業手当相当額6,000円で休業手当を60%支給(3,600円/1日1人)の場合、
6,000円×60%×9/10=3,240円(会社負担 3,600-3,240=360円)

・休業手当相当額6,000円で休業手当を100%支給(6,000円/1日1人)の場合、
6,000円×60%×9/10+6,000円×40%×10/10=5,640円(会社負担6,000-5,640=360円)


ただし、この「会社負担が同額」いう前提は、後に述べる上限に引っかかると崩れます
休業手当(相当額)が上限である8,330円を超えてしまうような場合は、この後も読み進めてください。

2、自粛要請による自粛であれば100%支給

今回のもう一つの大きな改正は、「中小企業が都道府県知事の休業要請に従って休業をしているような場合は100%支給になる(4月8日以降)」ということです。

では、休業要請に従うべき業種とは、どのような業種でしょうか。例えば、東京都ではこちらのようにインターネット上で発表をしています。

例えば、「カラオケボックス」は休業要請の対象ですが、「コンビニエンスストア」に休業要請はなく、100%支給の対象外であることがわかります。各都道府県のホームページや発表を確認してください。

ところが、こちらも上限規制がネックになります。休業手当(相当額)が8,330円を超える場合は100%支給にはならない、ということです。

3、本丸は「上限8,330円」の引き上げ

他にも休業手当の計算方法などに簡素化の措置が取られていますが、皆さんの一番の関心ごとは「結局、いくらもらえるのか」ではないでしょうか。
その意味では、今回の発表で、多少金額は増えました。しかし、その割合は小さいと言わざるを得ません。

この支給金額が大幅に変わるとしたら、それは「上限金額の引き上げ」しかないのです。 既にニュースなどを聞くと、この金額の引き上げについて検討されているようですが、本日(5月8日)時点で具体的な金額についての発表はありません。

雇用調整助成金については、本職の社労士でもなかなか追いつけないほどの頻繁な手続きやルールの改正がされております。その中で、特にこの「上限」については、ぜひご注目をいただきたいと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
5月1日の発表では、雇用調整助成金について、休業手当の支給率によって会社負担の差が出なくなるように改正されたとともに、業種によっては全額補償することになりました。

しかし、8,330円という上限が引き上がらない限り、支給金額の大幅な増額にはなりません。引き続き雇用調整助成金のニュースに注目をしていただきたいところです。

雇用調整助成金は、助成金としてかつてないほど注目を浴びており、その情報量も群を抜いて多くなっています。それだけに混乱することも多いと思います。不明なこと、心配なことは、ハローワークやお近くの社会保険労務士にご相談いただきたいと思います。

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