KDDIが2020年6月より導入した「社内副業制度」終業時間の20%で自部署以外での業務を経験
労務


一般的な風潮として副業・兼業の容認が進む中、KDDI株式会社では「社内副業制度」という一風変わった制度運用を2020年6月より開始しています。
会社にとってのイノベーション創出、労働者にとっての専門性向上と成長につながる本制度が、グループ全体の好循環を生み出すカギとなりそうです。

この記事の目次

KDDI株式会社「社内副業制度」の概要


出典:KDDI株式会社「イノベーション創出を加速する「社内副業制度」を開始」

KDDI株式会社でスタートした「社内副業制度」は、正社員約11,000名を対象に、就業時間の20%を目安として自部署以外での業務を経験できることとした制度です。2020年4月1日から全86業務の募集を行い、63名が2020年6月1日以降順次、社内副業を開始しているとのことです。

4月時点で募集された主な副業業務としては、「au PAY アプリのスーパーアプリ化に向けた企画(au PAY アプリの利用拡大やユーザビリティ改善を目的とした他社動向調査、分析・調査に基づく改善提案)」や「地域ICT化応援部隊(地域(主に地方自治体)ステークホルダーとの関係づくりから、ICT/IoTを用いた地域課題(主に一次産業や観光業)の解決に資する企画の立案)」等があり、社員の専門性や自部署での経験を活かしたい、専門性を磨きたいとニーズに幅広く答える業務がラインナップしました。

盛りだくさんな「社内副業」のメリット

さて、副業や兼業というとどうしても過重労働の温床とされがちで、とりわけ本業先や副業・兼業先における適正な労働時間把握が課題となっています。この点、社内副業という形をとることで、対象者の労働時間を正しく把握できる、本業と副業・兼業とが連携して業務量を調整出来るようになるといったことから、働き方改革の柱である「時間外労働の上限規制」を遵守した副業が可能となります。

もっとも、副業・兼業に係る一般的な目的として「本業以外の収入源の確保」「収入補てん」という観点も重視されており、社内副業制度は収入面でのプラスαを見込めるものではありません。あくまで「本業と無理なく両立できる副業でスキルアップを図る」というスタンスであれば、労働者側のメリットは大きいと言えそうです。

もちろん、会社側にとっても、労働者の成長が所属部署で活かされたり、他部署からの視点が副業先での発見や刺激に繋がったりといったメリットが期待できます。社内副業制度は、KDDIのみならず、パナソニックや丸紅、リコーなど、すでに複数企業が導入しています。

2020年9月1日より、副業・兼業の労災認定は原則「本業+副業」での判断に

さて、今号でご紹介した社内副業のお話からは逸れますが、本業先と副業・兼業先とが別の企業の場合でも、労災保険給付額算出時、労災認定に係る労務負荷(労働時間やストレス)については原則、すべての勤務先の状況を総合的に評価することとされました。

賃金額を合算して保険給付額等を決定


負荷(労働時間やストレス等)を総合的に評価


出典:厚生労働省「労働者災害補償保険法の改正について~複数の会社等で働かれている方への保険給付が変わります~」

他企業での副業・兼業を容認する場合、適切な形で労働時間や業務負荷に対応できるか、具体的にどのような方法で労務管理を行うかについて十分に検討する必要があります。兼業・副業に係る労働時間管理の取扱いや安全配慮義務については、政府資料から対応すべきポイントを学び、会社としてルールを定めていくことになります。

労務管理の専門家である社会保険労務士をご活用いただきながら、無理なく運用可能な制度設計をめざしてまいりましょう。

まとめ

今後ますます広がる副業・兼業を考える上では、今号でご紹介した「社内副業制度」もまた有力な選択肢の一つとなるでしょう。副業・兼業に関わる就労ルールについては、既に示されている政府方針を元に、今後法律面で整備が進められていきます。
引き続き、SHARES LABより最新情報をご確認ください。

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