個人事業主が交替する事業承継時の労働保険、社会保険の手続きについて。
労務


個人事業の場合、雇用保険の被保険者証や健康保険証には「屋号+事業主名」が会社名の代わりに示されます。 では、個人事業で事業主が交替する場合、雇用保険、健康保険はどのような手続きになるのでしょうか。

事業主の交替といっても、いろいろなケースがあります。ここでは、個人事業主の交替時の労働保険、社会保険の手続きについて解説します。

この記事の目次

1、原則は「喪失、再取得」だが、事業承継という選択も可能。

まずは考え方として、個人事業主の場合、契約関係は個人と結んでいることになりますので、原則はこの契約の解消と新しい事業主との再契約となります。雇用保険、社会保険上も資格を一度喪失して、再度資格取得手続きを行うことになります。

ただし、従業員から見れば、個人事業とはいえ同じ職場で同じように働いているということになるので、資格喪失、再取得という流れに違和感があるかもしれません。また、喪失・再取得となると、一時的とはいえ健康保険証が使えないということにもなるため、できれば避けたいというケースもあるのではないでしょうか。

そこで、債権債務関係や有給休暇など従業員の権利を引き継ぐ場合は、事業承継という手続きを取ることもできます。事業承継であれば、保険関係を切れ目なく継続できますので、喪失再取得の場合と比べれば、そこまで急ぐ必要はなくなります。

2、労災保険、雇用保険の事業承継

では具体的な手続きを見ていきましょう。
まずは労災保険です。管轄の労働基準監督署に「労働保険 名称、所在地変更届」を提出してください。前述のように名称を「屋号+事業主名」に変更します。
次に雇用保険です。管轄のハローワークに「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出します。前述の労災と同様、屋号+事業主名に名称変更を行ってください。この資料に「新旧実態証明書」「事業の継承、従業員の継承覚書」という書類を添付します。フォーマットは管轄のハローワークで取得してください。

同証明書は、新旧の事業主の押印が必要になります。事業主間で会うことが難しい場合もあると思いますので、一度の打ち合わせでこれらの書類の押印を済ませることをお勧めします。

そして、住民票(世帯全員、マイナンバーの無いもの)の控えを添付します。

3、社会保険の事業承継

続いて、健康保険、厚生年金保険の事業承継です。管轄の年金事務所で「事業所関係変更届」で事業主の変更を連絡します。そのうえで事業所の名称が屋号+事業主名で変わりますので、「適用事業所 名称/所在地 変更届」を合わせて提出することになります。

さらに「債権債務の引継書」を添付します。こちらの書面は新旧事業主の押印が必要になります。年金事務所でフォーマットを取得してください。この書面で、債権債務関係と被保険者関係を引き継ぐことを証明します。

そして、新規適用の場合と同じ書面を用意します。
具体的には世帯全員の住民票、個人事業を行っている証明(開業届など)、さらに被保険者5人未満のいわゆる任意適用の事業所の場合は、事業主の1年分の公租公課(住民税、所得税、事業税、国民健康保険、国民年金)の納付証明が必要です。
また、旧事業主が口座振替を行っていた場合、口座振替の変更も忘れずに行っておきましょう。

納付証明については、新事業主の過去の立場によって書面が変わってきます。証明に不安な方は年金事務所でその書面を確認することをお勧めします。

事業承継が確認できると、新しい事業主の名前で健康保険証が発行され、事業所に届きます。
なお、ここまで出てきている書類について、事業主欄が一つの書面については、新事業主の名称で提出することになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
旧事業主と新事業主との関係性や承継の実態に合わせて、喪失再取得するのか、事業承継にするのか決めてください。

以上は原則となりますが、管轄によって提出すべき書類が変わってくることがあります。管轄の労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所に提出書類を事前に確認しておくことをお勧めします。また組合健保の場合はそちらにも提出書類を確認のうえ、手続きを行ってください。

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