以前の記事で、新設された新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金について解説しました。こちらは、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりやむを得ず休業させられた中小企業の労働者のうち、休業中に賃金(休業手当)を受けることができなかった方に対して支給されるものです。
2020年7月17日より、複数事業所で休業した労働者の申請受付が開始されました。手続きに用いるのは、通常の申請書とは異なりますので注意が必要です。
支給単位期間ごとに、複数事業所分を申請
勤務先である複数事業所が休業し、いずれの事業所でも休業手当を受けられなかった場合、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金を複数事業所の休業について申請できます。その際の注意点としては
・ 「複数就労用」の申請書を用いること
・ 支給単位期間ごとに、申請時に複数事業所分の情報をまとめて申請する必要があること
が挙げられます。同一の支給単位期間について、複数事業所分を別々に申請しても、後から申請した分は無効になります。
申請書に記入する「休業期間における就労等の状況」「休業前賃金」の考え方、書き方については、申請書記入見本の2ページ目で実例を元に解説されています。
参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金_記入見本(複数就労用)」
休業期間が重複していない月は単体事業所として別申請
ただし、複数事業所で勤務しており、それぞれで新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の支給対象となる場合でも、複数事業所の休業で支給単位期間が全く重複していないときは、当該支給単位期間の申請については単体事業所として別々に行います。このケースの具体例については、次項(例2)で見ていくことにしましょう。新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の複数事業所申請 具体例
ここからは、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の複数事業所申請事例をご紹介します。複数事業所で休業期間が重複する場合
この場合、休業期間は「最も休業開始日が早い事業所の休業開始日」から「最も休業終了日が遅い事業所の休業終了日」までとなります。複数事業所で休業期間が重複しない月がある場合
申請が「複数事業所」と「単体事業所」の2種類に分かれます。出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金_記入見本(複数就労用)」
まとめ
今号では、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の申請について、複数事業所で勤務する労働者の事例をご紹介しました。ただし、休業手当を受け取ることのできない労働者の救済制度が創設されたとはいえ、休業手当の支払いは使用者の責任として行わなければなりません。感染者増を受け、自治体ごとに休業要請が出されている状況です。引き続き、雇用調整助成金の活用を前提に、休業手当の支払いができる方向で検討されてみてはいかがでしょうか。