副業・兼業時の労働時間通算管理方法として設けられた「管理モデル」とは?
労務


副業・兼業に関わるルールの整備が、着実に進められています。前号では、法改正により定められた労災保険給付時の賃金合算や業務負荷の総合的評価について解説しましたが、今号のテーマは「労働時間管理」。2020年8月27日に公開された「副業・兼業の促進に関するガイドライン」改定案には、副業・兼業労働者に適用される簡便な労働時間管理方法「管理モデル」が盛り込まれました。

この記事の目次

副業・兼業の労働時間管理方法「管理モデル」とは?

かねてより議論されていた、副業・兼業の労働時間管理モデルでは、労務管理や割増賃金算出に必要な労働時間の通算管理に対応しつつ、いかに労使の負担を軽減させ、かつ労基法に定める最低労働条件を遵守できるかがカギとなっていました。
このたび改訂されたガイドラインでは、副業・兼業者の労働時間管理の方法について、下記の通りひとつのモデルが導きだされました。

副業・兼業の開始前に、各使用者の元での労働時間(所定労働時間及び所定外労働時間)の合算労働時間数が単月 100 時間未満、複数月平均80時間以内となる範囲内において、各々の使用者の事業場における労働時間の上限をそれぞれ設定し、各々の使用者がそれぞれその範囲内で労働させることとする

上記の「管理モデル」導入により、副業・兼業の開始後においては、各使用者があらかじめ設定した労働時間の範囲内で労働させる限り、他の使用者の事業場における実労働時間の把握を要することなく労基法を遵守する ことが可能となります。

「管理モデル」ルールの適用対象は「労基法に定められた労働時間規制が適用される労働者」

上記「管理モデル」が適用されるのは、事業主を異にする複数の事業場において、「労基法に定められた労働時間規制が適用される労働者」です。下記に該当するものに対しては適用されないため、正しく把握しておく必要があります。

× 労基法が適用されない場合
(フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事等)

× 労基法は適用されるが労働時間規制が適用されない場合
(農業・畜産業・養蚕業・水産業、管理監督者・機密事務取扱者、監視・断続的労働者、 高度プロフェッショナル制度)


ただし、上記に該当する者であっても健康確保の観点から、長時間労働防止のための配慮が求められます。

「管理モデル」導入時には使用者間の事前調整が必須

今回公表された「管理モデル」では、労働者が「副業・兼業を開始する前に」使用者間で事前調整を行っておくことが求められます。これはつまり、副業・兼業について、労働者がそれを行う旨や他の使用者に関わる情報を正確に申告することが大前提となりますが、関係各社においてはまずこの点が適切に成立するための体制整備をしなければなりません。副業・兼業容認企業では、今一度社内ルールを見直し、適正な情報収集が可能とする必要があります。

まとめ

今回、副業・兼業者の労働時間把握について一定のルールが設けられたことになりますが、実運用に際しては何かと頭を悩ませる場面もあるかと思います。政府のガイドラインや、必要に応じて社会保険労務士を正しく活用し、適切に対応できる様に準備を進めましょう。


参考:厚生労働省「第163回労働政策審議会労働条件分科会(資料)_副業・兼業の促進に関するガイドライン(改定版)(案)」

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