10月は年次有給休暇取得促進期間です!最近の有給休暇事情と取得率向上のために知っておきたいこと。
労務


10月は「年次有給休暇取得促進期間」です。 年次有給休暇の取得率の低さは、日本の労働事情において長年の課題となっていました。今、様々な施策により、政府が日本人の有給休暇取得率を上げようと努力をしています。

ここでは、年次有給休暇取得促進期間をきっかけに、最近の年次有給休暇の取得事情と、ビジネスマンがぜひ知っておきたい有給休暇の基礎知識について、解説をいたします。

この記事の目次

1、年次有給休暇の取得率は回復傾向。しかし、目標にはまだまだ遠い。

厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、日本の有給休暇取得率は56.1%だった平成5年をピークに徐々に減少し、平成12年に50%を切ると、平成16年には46.6%まで落ち込みます。

実はこの期間、週休二日制への移行や祝日の増加で、そもそも有給休暇の対象になる労働日が減ったという側面があります。
つまり、昔から有給休暇に対する状況に変化は無かったと言えるかもしれません。

その後も40%後半を推移したのですが、平成26年以降は再び取得率が上昇に転じ、平成29年に51.1%、平成30年は52.4%と回復をしています。

長時間労働による問題が相次ぎ、ブラック企業という言葉も生まれました。会社側も労働者側も、がむしゃらに働く昭和の働き方を見直し、休み方をどうするかという意識が高まってきたと言えるでしょう。

とは言っても、国の目標値である70%には、まだまだ遠いのが実情です。先進国の中でも有給休暇消化率が格段と低いということに変わりはありません。これからも様々な施策によって有給休暇を取得できるように環境が整備されると思われます。

2019年から始まった「年次有給休暇の5日の付与義務」はその施策の一つです。これまでは、従業員から有給休暇取得の申請が無ければ、付与が0日でもOKでした。2019年4月以降は、年に10日以上付与した場合、会社はうち5日を必ず消化させなければいけません。

有給休暇管理簿の備え付けも義務となりました。会社も社員も、年次有給休暇への意識を変えていかなければいけないのです。

2、政府が推奨する「計画年休」とは?

この年次有給休暇取得促進期間で勧められているのが「計画的付与制度」です。

年次有給休暇というのは、原則、従業員が個々に日にちを決めて休みを申請します。それに対して、計画的付与制度とは、労使による協定があることを前提に、事前に有給消化する日を各社員に割り振れるようにすることをいいます。

よくあるパターンとしては、年末年始における前後の労働日(12月29日や1月4日など)を対外的には「年末年始の休暇」、社内的には「計画的付与制度による有給消化日」として設定します。これにより、5日付与義務があるうち、1日ないし2日を確実に消化できることになります。

この計画的付与は必ずしも会社単位で休みを決める必要はありません。グループ単位や個人単位に計画的付与を行うことも可能です。

注意点としては、計画的付与は有給休暇の権利が発生していない従業員には適用できないことになるため、別途何かしらの対策が必要になります。また、計画的付与を使えるのは「年次有給休暇のうち5日を超える部分」のみ可能とされています。つまり、裏を返すと、5日は必ず計画的ではなく自由に使わせる必要があるということです。

3、「休まなければならない」意識の転換をはかる

ところで、なぜ日本の有給休暇消化率はこんなに低いのでしょうか。調査の結果から突き詰めると「休める雰囲気にない」というところが多いということがわかっています。

これは会社全体の雰囲気ということも言えるのですが、個人がその責任感から「休むのは会社に、顧客に、同僚に申し訳ない」と自縄自縛してしまうケースもあるようです。

営業マンが「平日はいつも電話がかかってくるから休めない」というのは事実だと思いますが、そのすべての電話がその日のうちに対応すべき仕事でしょうか。実はその日のうちに対応しないといけない問題は限られているはずです。

このようなケースの場合、「休めば良いじゃん」では解決しません。その方の認識で休めないと感じていることは事実です。まずは休みたくても休めないという辛さに共感的理解を示しましょう。それから、なぜ休めないのか、その理由を分析・整理することを第三者視点で行ってください。

そのうえで「少しずつ休みを増やすことで、会社の雰囲気を変えてほしい」と別の責任を持たせることは、責任感の強い方には有効です。

特に責任感から休みを取らないような方だと、やや極端な言い方になりますが「休むと迷惑がかかる」から「休まないと迷惑がかかる」くらいまで腑に落とさないと、有給休暇を取得するという行動は起こしません。粘り強い対話が求められます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
10月は年次有給休暇取得促進期間です。これを機会に、貴社が年次有給休暇を取得しやすい環境にあるか、ぜひ確認をしてみてください。

新政権に変わり、脱ハンコやデジタル化など、労働のあり方を変えるような動きが出ています。年次有給休暇の取得率向上も日本の凝り固まった意識を変えることで初めて達成できるものです。ぜひ意識向上の機会としていただければ幸いです。

ご相談、ご質問は近くの労働基準監督署や、社会保険労務士にお気軽にお問合せください。

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