年次有給休暇は、週の労働日数によって付与日数が変わります。それでは、雇用契約の更新等で、当初の雇用契約時の労働日数に増減があった場合、有休付与にはどんなルールが適用されるのでしょうか?
- 変更後の週所定労働日数に応じた年次有給休暇の付与は「基準日」ベースで
- 週所定労働日数が減った場合でも、既に付与した有休はそのまま
- 一方で、週所定労働日数が増えたタイミングで即時に有休を追加する必要はありません
- まとめ
変更後の週所定労働日数に応じた年次有給休暇の付与は「基準日」ベースで
大前提として、年次有給休暇は、週5日未満勤務のパート等へも、週の労働日数に応じた日数分を付与する必要があります。当然のことながら、正社員からパートに契約変更になったからといって、有休付与をなくす取り扱いはしてはなりません。出典:厚生労働省「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」
それでは、下記のケースのように、週5日勤務から週3日勤務に雇用契約を変更したとすると、年次有給休暇の付与日数はどのように変動するのでしょうか?
2018年4月1日 雇い入れ(週5日勤務)
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2018年10月1日 勤続6ヵ月 年次有給休暇付与(10日)
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2019年4月1日 勤続1年
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2019年10月1日 勤続1年6ヵ月 年次有給休暇付与(11日)
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2020年4月1日 勤続2年 契約変更(週3日勤務)
結論から申しますと、雇用契約の更新・変更等で週の所定労働日数に増減が生じた場合でも、変更後の労働日数に応じた年次有給休暇が付与されるのはあくまで「変更後に迎える最初の基準日」です。
上記の例でいえば、契約変更があった2020年4月1日に、直ちに年次有給休暇付与日数について何らかの処理をする必要はありません。2020年10月1日に「週3日勤務」「勤続2年6ヵ月」の要件に合った「6日」の有休付与を行えばよいことになります。
週所定労働日数が減った場合でも、既に付与した有休はそのまま
雇用契約の変更で週の労働日数が減った場合(上記の例では週5日⇒週3日)でも、付与済みの有休を減らす取り扱いはしません。年度途中の契約変更の場合、実務の現場では、週5日勤続ベースで1年6ヵ月時点に付与した「11日」から半年分の「5.5日」を減じ、その上で、週3日勤続ベースで1年6ヵ月時点に付与する「6日」の半年分の「3日」を付与する等の取り扱いを見ることがあります。しかしながら、有休付与はあくまで「基準日」ベースで行うものですから、こうした処理は不要なのです。
一方で、週所定労働日数が増えたタイミングで即時に有休を追加する必要はありません
また、仮に週3日勤務から週5日勤務等への週所定労働日数の増加があったとしても、年度の途中で、変更後の労働日数に応じた有休付与を行う必要もありません。こちらもあくまで「基準日」をベースに、雇用契約変更後、最初に迎える基準日時点で週所定労働日数、勤続年数に応じた付与をすれば良いことになります。まとめ
分かっているつもりでも、細かな運用については意外に頭を悩ませることも多い年次有給休暇の付与ルール。今回解説した、週所定労働日数の変更に伴う有休日数の変更についても、いざ対応に迫られた際には「どうだったっけ?」となりがちなポイントです。一つひとつの事例をしっかり確認し、適切に対応できるようにしましょう!