労務関係書類で押印・署名見直しの方向 労働基準法施行規則が改正へ
労務


目下、政府主導により行政手続きにおける「脱ハンコ」が進められているところですが、2021年度からは労働基準法等に基づく届出で、使用者及び労働者の押印又は署名が廃止される見込みです。パブリックコメント「労働基準法施行規則等の一部を改正する省令案に係る意見募集について」より、現段階で確認できる概要を確認しましょう。

参考:厚生労働省「労働基準法施行規則等の一部を改正する省令案について(概要)」

この記事の目次

労働基準監督署長等への届出様式の押印欄を削除

まずは各種届出に係る「押印欄の削除」について、以下の通り方針が示されています。

‘ 労基法の委任に基づく労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)、事業附属寄宿舎規程(昭和22年労働省令第7号)、年少者労働基準規則(昭和29年労働省令第13号)及び建設業附属寄宿舎規程(昭和42年労働省令第27号)並びに最賃法の委任に基づく最低賃金法施行規則(昭和34年労働省令第16号)において、法令上押印等を求めないこととするとともに、労働基準監督署長等への届出等の際に押印等を求めている省令様式について押印欄を削除する ’


これにより、上記諸規則を根拠に使用者又は労働者の押印欄のある届出等については、原則押印欄が削除されることになります。該当の届出については、資料「労働基準法に基づく届出等における押印原則の見直しについて」の7~10ページでご確認いただけます。

労使協定等の過半数代表組合・過半数代表者欄にはチェックボックスを新設

また、労使協定届等の過半数代表組合・過半数代表者欄には、
・労働組合の記名がされている場合には事業場の労働者の過半数で組織されている旨
・過半数代表者の記名がされている場合には事業場の労働者の過半数を代表している旨及び当該過半数代表者が労働基準法施行規則第6条の2第1項各号のいずれにも該当する者である旨
を表明するチェックボックスが新設されることになります。

多くの企業に関係する届出である36協定届については、すでに様式案が公開されています。 2021年4月の改正法施行に先駆け、ひと足早く新様式のイメージを掴んでおきましょう。



出典:厚生労働省「労働基準法に基づく届出等における押印原則の見直しについて」

押印・署名不要となるのは、あくまで「協定届」のみ!「協定書」を正しく作成しましょう

今号で解説した労務関連の各種届出に関わる押印欄の廃止は、あくまで「届出」にのみ適用される改正項目です。労使協定届と併せて締結する協定書には、従来通り、労使の押印、署名が必要である点にご注意ください。

「協定届」と「協定書」の区別がつかない方もいらっしゃるかもしれませんが、両者は別物です。
「協定書」とは、労使間で一定の事項について合意した内容を書面にまとめ、労使双方が署名又は記名押印したものです。一方で「協定届」は、協定書の内容を労基署に届け出るための届出書です。

届出が必要な労使協定については原則、協定届と協定書をセットで提出することになっています。そのため、届出書の押印欄が削除されたとしても、協定書の所定欄には労使の押印等が必要であることに変わりありません。

しかし、36協定等一部の届け出については現在、「労働組合の名称又は労働者の過半数を代表する者の職氏名」欄に労働者代表の署名又は記名押印があることで、協定届と協定書を一体として届け出ることが認められています。押印欄廃止に伴い、このあたりの運用が今後どのようになるのか(協定届が使用者の一存で作成されたものではないということをどのように担保するのか)は追って確認する必要があります。

まとめ

脱ハンコの流れが、着実に社会に浸透しつつあります。関係者の押印が不要となることは業務効率化に大きく寄与するでしょうが、現場においては「ねつ造でないことの担保」等、これまで以上に適正な書類作成・管理の徹底を心がける必要が生じます。労使協定締結に伴う過半数代表者の選定要件・方法、協定書の作成状況を見直しておくと安心です。

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