給与の締日や支払日を変更する場合の手続きを解説
労務


働き方改革の一環として、「給与の締日や支払日の変更」により業務効率化を図る現場もあるかもしれません。「締日と支払日との間隔を長くする」「雇用形態ごとに異なる給与の締日と支払日を統一する」等の取り組みで業務効率化を図る例は少なくありませんが、こうした際に気になるのが「そもそも給与の締日や支払日を、会社が一方的に変更して良いのだろうか」という疑問だと思います。今号では、給与の締日・支払日の変更手続きを解説しましょう。

この記事の目次

変更時に留意すべき「賃金支払の5原則」

結論から言えば、給与の締日・支払日を会社が変更することは可能です。ただし、労働基準法第24条(賃金の支払)に定める以下の5原則に反することはできません。

‘ 賃金は、
① 通貨で、
② 直接労働者に、
③ その全額を、
④ 毎月1回以上、
⑤ 一定期日を定めて
支払わなければならない ’


出典:電子政府の総合窓口e-Gov「労働基準法」

給与の支払日を変更する場合にも「2ヵ月に一度」とすることはできませんし、月によって異なるといった取り扱いをすることも認められません。

給与の締日・支払日は就業規則に定めるべき内容であるため、変更を行った場合は就業規則の改定が必要になります。

労働条件の不利益変更になり得るケースに注意が必要

前述の「賃金支払の5原則」を遵守する内容であれば、給与締日・支払日の変更が認められることになりますが、変更によって労働者に負担が生じる場合は適切な対応が求められます。
例えば、締日を前倒しする、支払日を後ろの期日へと繰り下げる等の場合には注意が必要です。締日を前倒しにすれば変更月の支払日に支給される給与は通常よりも少なくなりますし、支払日を繰り下げることで従業員の各種支払への対応に支障が生じる可能性があるからです。
このように、労働条件の不利益変更となり得る変更では、単に就業規則を変更するだけではなく、従業員への十分な説明と周知を徹底させる必要があります。

労働契約法上、留意すべき要件は、下記の観点からみた変更の合理性です。
・ 労働者の受ける不利益の程度
・ 労働条件の変更の必要性
・ 変更後の就業規則の内容の相当性
・ 労働組合等との交渉の状況

参考:厚生労働省「労働契約法のポイント」

労働者への配慮として考えるべき対応

給与の締日・支払日の変更により、使用者はどのような対応をとるべきなのでしょうか。
給与締日の変更で支給額が少なくなる場合、「変更を賞与支給のタイミングに合わせる」「徐々に支給日をスライドさせて変更する」「変更までに十分な期間を確保する」等が考えられます。

また、給与支払日の変更でこれまでよりも支給が遅くなってしまう場合、「変更までに十分な期間を確保する」ことの他、必要に応じて「会社が短期の貸付を行う」等の配慮も検討しなければならないでしょう。

いずれにせよ、労働者への対応も含め、労使間で十分に合意形成した上で変更できるのが望ましいと言えます。

まとめ

働き方改革への対応等で社内制度の見直しや整備、変更を行う場合、意図せず「労働条件の不利益変更」が生じているケースは少なくありません。少しでも不安や疑問を感じたら、労務管理の専門家である社会保険労務士にご相談ください。

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