厚生労働省モデル就業規則2020年11月版に「副業・兼業」関連の解説が追加!就業規則に副業・兼業規定を設けていますか?
労務


大企業を中心に、働き方改革の一環として広がった副業・兼業容認の風潮ですが、コロナ禍においては労働者の所得確保の必要性から、中小企業における副業・兼業容認も少しずつ数を増しているように感じられます。
会社として副業・兼業を認める場合にまず必要なのは、「ルール化」です。副業・兼業を容認した現場において、社内規程の整備はお済みでしょうか?

この記事の目次

厚生労働省公開の「モデル就業規則」が2020年11月版に改訂。副業・兼業関連の解説が追加

政府の働き方改革実行計画にある「柔軟な働き方がしやすい環境整備」の一環として「副業・兼業の推進」が盛り込まれたことを受け、すでに2018年1月に厚生労働省のモデル就業規則から「副業禁止規定」が削除されています。そしてこのたび、2020年9月の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」改定に伴い、副業・兼業規定に解説が追記された「モデル就業規則2020年11月版」が公開されました。

第68条「副業・兼業」の解説に、労働時間外の副業・兼業は本来労働者が自由に行えることを前提とした上で、会社として留意すべきポイントが以下の通りまとめられています。

✓ 労働者の副業・兼業を認める場合、労務提供上の支障や企業秘密の漏洩がないか、長時間労働を招くものとなっていないか等を確認するため、労働者からの事前の届出により労働者の副業・兼業を把握することを規定しています。

特に、労働者が自社、副業・兼業先の両方で雇用されている場合には、労基法第38条等を踏まえ、労働者の副業・兼業の内容等を把握するため、次の事項を確認することが考えられます。

・他の使用者の事業場の事業内容
・他の使用者の事業場で労働者が従事する業務内容



✓ また、労働時間通算の対象となるか否かの確認を行い、対象となる場合は、併せて次の事項について確認し、各々の使用者と労働者との間で合意しておくことが考えられます。

・他の使用者との労働契約の締結日、期間
・他の使用者の事業場での所定労働日、所定労働時間、始業・終業時刻
・他の使用者の事業場での所定外労働の有無、見込み時間数、最大時間数
・他の使用者の事業場における実労働時間等の報告の手続
・これらの事項について確認を行う頻度



参考:厚生労働省「モデル就業規則 第14章」

加えて、実務上の必要な検討については「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和2年9月改定)を参照するものとしています。

参考:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和2年9月改定)

就業規則に副業・兼業規定を設けないことのリスクとは?

現状、多くの副業・兼業容認企業では、政府のモデル就業規則やガイドラインを元に、自社内の副業・兼業に関わるルールの検討・決定をしているものと思われます。もしくは、副業・兼業を禁止する旨の条文を盛り込んでいる就業規則というのも、まだまだ多く見受けられます。

その一方で、副業・兼業に関わる方針を示していないケースは少なくありません。この場合、労働者の副業・兼業の実態が職務専念義務や競業避止義務等に背くものと推測される場合でも、会社が労働者を懲戒処分や解雇の対象とする取り扱いが無効と判断されることがあります。実際の判例では、十和田運輸事件や日本ワールドエンタープライズ事件等で、副業・兼業労働者の普通解雇が無効とされています。

副業・兼業に関わる制限が明文化されていない場合、訴訟においては、本業の業務に支障があったか、本業の社会的信用等に悪影響を及ぼしたか等の実態が検討対象となるものの、会社としての副業・兼業に係る方針は積極的に加味されないことになってしまいます。このように、会社が労働者に対し、無制限に副業・兼業を認めるリスクは多岐に渡ります。

副業・兼業容認の必要性を検討し、会社としての方針を定めましょう

現状、会社として副業・兼業を全面的に禁止したいという本音もあると思いますが、労働者の勤務時間外の時間を会社が制限することはそもそも法的に認められません。ただし、会社のリスク管理として根拠ある制限を設けることは可能ですから、会社はどのようなケースであれば認められるかを慎重に考える必要があります。

具体的には、会社として望ましくない副業・兼業がどういうものか、申請・承認の手続き、労働者の健康管理や労働時間把握の方法といった基本的なルールから、副業・兼業によって本業に支障が生じたとされる場合の職務専念義務違反の基準をどうするか、これに伴う懲戒処分をどのように設定するか等の万が一の際の対応まで、幅広い検討が求められます。

まとめ

まずは最初の制度設計が肝心です。労務リスクの予防の観点から、改定されたモデル就業規則やガイドラインを参考に、御社における副業・兼業の在り方を考えてみましょう!

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