男性の育児休業取得率については、2025年までに30%の政府目標を掲げているにもかかわらず、依然として10%未満の低い数字で推移しています。こうした状況を受け、政府は新たに男性版産休制度の創設を目指しており、早ければ2021年内に育児・介護休業法改正案が提出される見込みです。
今号では、2020年12月14日に開催された労働政策審議会の分科会資料を元に、現状で判明している制度概要を確認しておきましょう。
男性版産休制度はなぜ必要?
報道等で「男性版産休制度」のキーワードを見聞きして、「男性に産休?」と違和感をもたれた方も多いのではないでしょうか?まずは、「なぜ男性に産休制度が必要なのか」に目を向けてみましょう。男性版産休制度は、パートナーの出産直後の時期について、現行の育児休業よりも柔軟で取得しやすい新たな休暇制度として創設が目指されるものです。現在の育児休業制度では、原則として休業開始の1ヵ月前までの取得申請が必要となっています。仮に出産時期が早まった際、女性は産前から休業に入っており問題ありませんが、一方で男性の場合、子どもが生まれてしまっても休暇を取得できないといった問題が生じる場合があります。こうした課題をクリアするために、新たな休暇制度創設が求められるというわけです。
男性版産休制度の期間や手続きはどのように想定されている?
ここからは、2020年12月18日時点で判明している男性版産休制度の概要についてまとめておくことにしましょう。来年以降公表される制度概要とは異なる場合がありますので、必ず最新の情報をご確認ください。対象期間
男性の育休取得状況や女性の産後休業期間に鑑み、子の出生後8週の間取得可能日数
年次有給休暇が年間最長 20 労働日であること等を参考に、4週間を想定分割して2回取得を可能とする案
取得申請期限
現行の育児休業より短縮して原則2週間前までとするが、法定を上回る職場環境整備に係る取り組みの実施を労使協定で定めている場合には、現行の育児休業と同様に1ヵ月前までとすることとして良いただし、出生が予定より早まった場合等は、1週間の申請も認める
その他、対象労働者、休業開始日及び終了日の変更等については、現行の育児休業に準ずる扱いが想定されています。ここまでの内容に何ら問題はないと思われますが、資料には「休業中の就労」という気になる記載があります。
男性版産休制度は「休業中の就労を認める」?
育児休業制度では、労使の合意の元、例外的に一時的・臨時的な就労が認められているものの、予定された定期的・恒常的な就労は原則できないことになっています。この点、男性版産休制度では「就労を認める」趣旨の記載があり、育児休業との大きな相違点の詳細に注目が集まるところです。
以上、参考・出典: 厚生労働省「第34回労働政策審議会雇用環境・均等分科会_【資料1】男性の育児休業取得促進策等について」