障がい者の法定雇用率は2021年3月1日に引き上げが予定されており、民間企業で「2.3%」、国、地方公共団体で「2.6%」となります。以前の記事では引き上げの時期を「2021年1月1日」とご紹介していましたが、今般の新型コロナウイルス感染拡大等に鑑み、当初の予定から2ヵ月先送りされています。企業においては依然として厳しい状況が続きますが、2021年1月22日時点では更なる延期の予定はありませんので、障がい者法定雇用率の引き上げについて、対象となる企業には適切な対応が求められます。
2021年3月1日以降の障がい者法定雇用率は、各事業主区分で現行から「0.1%」引き上げ
さっそく、2021年3月1日から適用となる障がい者法定雇用率を確認しましょう。出典:厚生労働省「令和3年3月1日から障害者の法定雇用率が引き上げになります」
障がい者雇用の法定雇用率については、すでに2018年4月1日施行の改正障がい者雇用促進法で上記の雇用率までの引き上げが決定されていますが、これまでは当面の経過措置として「民間事業主2.2%」「国・地方公共団体2.5%」とされていました。
この経過措置の期限が当初、2020年12月末日までとされていたところ、コロナ等の状況に鑑み2021年2月末日まで延長されたことから、いよいよ2021年3月1日以降、法律の定め通りの雇用率の適用となります。
今一度、障がい者雇用を正しく理解しよう
このたびの法定雇用率引き上げを受け、対象となる事業主の範囲は「従業員43.5人以上」まで広がります。新たに対象となる企業も出てくると思いますので、2021年3月1日には確実に対応できるよう準備を進める必要があります。障がい者雇用について理解を深めるためには、正しい知識をつけることが有効です。厚生労働省からはこれから障害者雇用を始める、もしくは障害者雇用を始めたばかりの事業主に向けたリーフレットを公開していますので、ぜひご一読ください。
法定雇用率を考える上で前提となる「障がい者雇用数の算定方法」といった基本的な事項を始め、行政が行う障がい者雇用支援や助成制度等が紹介されており、障がい者雇用をひと通り理解できる内容となっています。
参考:厚生労働省「障害者雇用のご案内 ~共に働くを当たり前に~」
法定雇用率引き上げ予定の一方で、コロナ禍で進む障がい者の解雇
さて、今春にも障がい者の法定雇用率引き上げが予定される一方、新型コロナウイルス感染拡大を受け、障がい者の解雇が問題視されています。厚生労働省によると、企業等を解雇された障害者は2020年4月~9月の半年間でおよそ1,200人に上り、2019年の同時期比で約40%増とのこと。背景には、「企業の業績悪化」に加え、テレワーク拡大等に伴い「障がい者が従事していた現場の仕事が削減されていること」があるようです。企業においては、今春に予定される障がい者法定雇用率の引き上げへの対応を前提に、障がいを持つ労働者の新たな活躍の場の創出が目指されます。
まとめ
コロナ禍における雇用維持に障がい者雇用と、今般、あらためて事業主としての責任の重みを実感する方も多いのではないでしょうか。雇用の問題については何かと対応の難しいことも多いと思いますが、お困りの際にはぜひ外部の専門家のご活用をご検討ください。「事業主として取り組むべきこと」というのは、必ずしも「事業主自身で抱え込むべきこと」を意味するのではありません。周囲の力を上手く活用しながら、事業主として迅速かつ適切に対応できる体制作りに目を向けましょう。