対象企業では要検討!社会保険適用拡大に向けたキャリアアップ助成金活用術
労務

2022年10月より段階的に進められる、短時間労働者への社会保険適用拡大。2024年10月には従業員数50人超規模の企業が対象となりますが、「まだ先のこと」とゆったり構えるのではなく、今から検討・準備すべきことに目を向けるのが得策です。

参考:「短時間労働者への社会保険適用拡大 2024年10月には「従業員数50人超企業」まで適用へ」

この記事の目次

社会保険適用拡大への対応には、キャリアップ助成金の活用がお勧め

従業員数50名超規模の企業においては、先々の社会保険適用拡大に向けて前向きに準備を進めましょう。社内で取り組むべき準備は、以下の4ステップです。社会保険加入を前提とした従業員各人への働き方の希望の聴取や調整が必要になることから、早期に着手しましょう。


出典:厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」

従業員の希望に耳を傾けてみると、いずれ社会保険に加入するなら「早めに加入したい」「より一層のキャリアアップを目指したい」、もしくはご自身は現状加入対象ではないけれども「労働時間を増やして社会保険に加入したい」等という前向きなお声が出てくるかもしれません。会社としてこれら従業員の要望に応える際にご検討いただきたいのが、「キャリアアップ助成金の活用」です。

法定の期日前に社会保険加入を進めるなら「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」

ゆくゆくは社会保険適用拡大の対象となる企業において、法定の期日以前に労使合意により社会保険適用拡大措置を実施し、有期雇用労働者等を新たに社会保険被保険者とする場合に、「キャリアアップ助成金(選択的適用拡大導入時処遇改善コース)」をご活用いただけます。

本コースは、時限措置の期限が2022年9月末まで延長されており、使い勝手が良くなっています。
※以下、< >は生産性の向上が認められる場合の額、( )内は中小企業以外の額です


出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内_55ページ」

短時間労働者の社会保険適用を促進するなら「短時間労働者労働時間延長コース」

また、社会保険適用対象労働者ではないものの、社会保険加入を希望する労働者については、労働時間を延長する等の取り組みを経て、社会保険被保険者とすることも可能です。この場合に活用できるのが、「キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)」です。 具体的には、以下のいずれかの措置を講じて、労働者を新たに社会保険加入させることが必要となります。

・週所定労働時間を5時間以上延長
・週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長するとともに基本給を昇給


こちらも、2021年3月末までの予定だった時限措置が2022年9月まで延長され、上限人数の緩和や支給額の増額が講じられています。



出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内_62ページ」

②については、延長時間数に応じて、以下の基本給の昇給率を満たすことが要件となっています。

・1時間以上2時間未満:13%以上昇給
・2時間以上3時間未満:8%以上昇給
・3時間以上4時間未満:3%以上昇給
・4時間以上5時間未満:2%以上昇給


非正規雇用労働者のキャリアアップには「正社員化コース」

また、社会保険加入をきっかけに有期雇用労働者等を正社員に転換し、これまで以上に現場の戦力として活躍してもらうことを検討する場合には、「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」をご活用いただけます。



出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内_14ページ」

正社員化コースについては、2021年4月より「支給要件の変更」「加算措置の変更」がありますのでご注意ください。

参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金が令和3年度から変わります~令和3年4月1日以降変更点の概要~」

まとめ

今後進められる社会保険適用拡大を目前に、今一度、御社の人材活用を見直されてみてはいかがでしょうか?法定よりも前倒しで施策を講じることで、助成金を活用しながら制度設計に取り組むことができます。「ウチの会社ではどんなことができるだろうか?」とお考えの事業主様、まずは雇用関係助成金の専門家である社会保険労務士にご相談ください。

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