全国で緊急事態宣言が解除されたとはいえ、新型コロナウイルス感染拡大は依然として予断を許さない状況。感染リスクを抑える目的で、企業に対しては引き続きテレワークの実施が推奨されています。テレワーク導入に際しては政府のテレワークガイドラインを参考にされた現場も少なくないと思われますが、本ガイドラインについてはこのたび改定が予定されており、第167回労働政策審議会労働条件分科会においてガイドライン案が公開されています。さっそく内容を確認しましょう。
テレワーク導入に際して検討すべき労務管理とは?
このたび示された「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(案)」では、テレワーク導入・実施に伴い会社が整備すべき労務管理体制のポイントが細かく解説されています。資料の中で、労務管理上の留意点として挙げられているのが、以下4つのポイントです。
✓ テレワークにおける人事評価制度
✓ テレワークに要する費用負担の取扱い
✓ テレワーク状況下における人材育成
✓ テレワークを効果的に実施するための人材育成
「非対面で個々の労働者の状況が把握しづらい」というテレワークの性質を踏まえた人事評価制度や人材育成プログラムの創設の他、労使双方の意識作りとして労働者側の自律的な業務遂行能力や管理職側のマネジメント能力の向上を図るといった観点からの取り組みが求められます。また、テレワークに係る費用負担について明確にしておくことで、労使間トラブルの発生リスクを抑えることができます。
テレワーク時の労働時間管理のポイント
また、テレワーク導入・実施に伴って生じる「適正な労働時間把握」の課題については、テレワークが情報通信技術を利用して行われるという特性に鑑み、労働時間管理についても情報通信技術を活用して行うことが望ましいとされています。具体的な方法として、ガイドラインでは以下の2点を紹介していますが、これらの他「クラウド勤怠管理システムの活用」も選択肢のひとつとなるでしょう。
① 労働者がテレワークに使用する情報通信機器の使用時間の記録等により、労働時間を把握すること
② 使用者が労働者の入退場の記録を把握することができるサテライトオフィスにおいてテレワークを行う場合には、サテライトオフィスへの入退場の記録等により労働時間を把握すること
その他、中抜け時間や休憩時間の取扱い、長時間労働対策等、テレワーク特有の労働時間管理ルールについても、今一度整備しておく必要があります。
事業者向け、労働者向けチェックリストの活用を
新たなガイドラインでは、テレワーク導入・実施に役立つチェックリストを盛り込み、労使双方が体制整備の参考にできるようになっています。事業所向けには「安全衛生管理体制」「安全衛生教育」「作業環境」「健康確保対策」「メンタルヘルス対策」等、労働者向けには「作業場所やその周辺の状況」「作業環境の明るさや温度等」「休憩」等に関わるチェック項目があります。
参考:厚生労働省「第167回労働政策審議会労働条件分科会(資料)_資料No.1-2 テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(案)」