企業対応の検討に役立てたい、過労死大綱案に盛り込まれた過労死等対策数値目標
労務


2021年3月24日に実施された第19回過労死等防止対策推進協議会において、過労死や自殺の防止対策の指針となる「過労死防止大綱」改定の素案が公開、検討されました。長時間労働やそれに起因するあらゆる弊害が問題視される中、過労死は特に留意すべき労務問題のひとつであるため、現場における対策は前向きに取り組まれるべきテーマと考えるべきです。

このたび労死大綱案に盛り込まれた過労死対策数値目標を理解し、今後企業が講じるべき過労死等対策の検討に役立てましょう。今号では、現行の過労死大綱から変更が生じている数値目標を中心に、特に重要な3点をご紹介します。

この記事の目次

過労死等対策数値目標① 週労働時間60時間以上の雇用者の割合

<現行>
週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下(2020年まで)



<改定案>
週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下(2025年まで)



現行の数値目標の達成状況について、2017年時点で「7.7%」だった割合が2020年には「5.1%」までに低下しており、ほぼ達成していると言えます。
これを踏まえ、新たな数値目標として2025年までに「週労働時間40時間以上の雇用者」についての週労働時間60時間以上の雇用者割合を5%以下とする旨が掲げられる予定です。

過労死等対策数値目標② 勤務間インターバル制度の周知と導入率

<現行>
労働者数30人以上の企業のうち、
勤務間インターバル制度を知らなかった企業割合を20%未満
勤務間インターバル制度を導入している企業割合を10%以上
(ともに2020年まで)



<改定案>
労働者数30人以上の企業のうち、
勤務間インターバル制度を知らなかった企業割合を5%未満
勤務間インターバル制度を導入している企業割合を15%以上
(ともに2025年まで)



勤務間インターバルの周知状況として、勤務間インターバルを知らない企業割合は、2017年時点の「37.3%」から2020年には「10.7%」まで大幅に下がり、数値目標達成となりました。一方で、勤務間インターバル制度導入企業の割合は、2017年の「1.4%」から2020年の「4.2%」へと増加傾向ではあるものの、目標の「10%」には依然として届いていません。
こうした状況を受け、政府は中小企業における導入支援を強化することで、周知・導入共に割合の向上を目指す方針を打ち出しています。

過労死等対策数値目標③ 年次有給休暇の取得率

過労死等対策の数値目標の中でも特に注目された「年次有給休暇の取得率」については、改定案でも現行同様、「取得率70%以上」が掲げられ、2025年までの実現が目指される予定です。

現状では、働き方改革の一環として企業に課せられた「年次有給休暇の年5日取得義務」が功を奏し、2019年度時点で取得率が「56.3%」にまで上昇しており、着実に目標値に近づいていることが分かります。

参考:厚生労働省「過労死等の防止のための対策に関する大綱の見直し案の骨子」

まとめ

公開、検討された「過労死防止大綱」改定の素案については、2021年5月に案の取りまとめが行われ、7月には閣議決定される運びとなります。よって、今号でご紹介した内容に変更が生じる可能性がありますが、企業の労務管理ご担当者様であれば資料をご一読いただき、ざっくりとした目標を把握されておくと良いと思います。

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