2021年夏より開始予定の新型コロナウイルスワクチン一般接種!企業は「年次有給休暇付与状況」の再確認を
労務


依然として新型コロナウイルス感染拡大が止まらぬ状況が続きますが、2021年2月以降、主に医療従事者を中心に新型コロナワクチン「コミナティ筋注」の接種が始まる等、今年に入って少しずつ前向きな動きも見られるようになってきました。これから2021年7月を目途に一般接種が始まる見込みとなっており、コロナ終息への期待が膨らみます。企業においては夏に向けて、従業員が安心してワクチンを接種できるような体制整備を進めましょう。

この記事の目次

「若年」「女性」を中心に高い副反応発現頻度、接種部位の疼痛は接種者の90%が自覚

新型コロナウイルスワクチンの接種についてはすでに報道等で様々な情報が入っており、その中で懸念すべきは副反応に関わる実態です。厚生労働省の検討部会がまとめた接種者の副反応報告や健康状態調査によると、主に「接種部位疼痛」「全身の倦怠感」「頭痛」「発熱」等の症状が目立ち、特に「若年」「女性」を中心に副反応の発現頻度が高いとのこと。さらに、1回目よりも2回目の接種後、接種当日よりも翌日以降に、副反応が生じやすいことも分かっています。

参考:厚生労働省「第56回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第2回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催) 資料」

特別休暇を創設できなくとも、年次有給休暇の取得奨励が可能な環境作りを

新型コロナウイルスワクチンを接種するかどうかは個々人の問題ではありますが、企業としては従業員が前向きに接種を検討できるような体制を整えておくことが肝心です。従業員の健康確保に最大限努めることは企業の義務であることに加え、コロナ禍の事業継続の観点からも職場にコロナ感染者を出さないこと、まん延させないことが求められます。

企業の中には、すでにワクチン接種日やその後の副反応発現期間について特別休暇を設けて対応する方針を示すところも出てきています。ところが一方で、現場によってはワクチン接種のための特別な制度の創設が難しいケースもあるでしょう。後者の場合、法定の制度を最大限に活用し、従業員のワクチン接種を推奨できるよう準備を進めるのが得策です。具体的には、「年次有給休暇の取得奨励」が想定されます。

前出の資料によると、ワクチン接種に伴い発現する副反応、具体的に接種部位の疼痛や発熱、頭痛等の症状は概ね接種3日後には軽快するとのこと。つまり、会社としては「ワクチン接種当日及び接種翌日について年次有給休暇の取得を奨励する」といった方針を打ち出せる方向で準備を進めると良いでしょう。もちろん、副反応の症状には個人差がありますから、接種3日目以降の有給休暇取得についても必要に応じて対応できるようにします。年次有給休暇の取得奨励に伴い、労働者各人の接種日や業務分担の調整等の作業が生じることになりますが、労働者の健康確保と事業継続のために必要な取り組みとして捉えてまいりましょう。

取得奨励に先立ち、要確認!年次有給休暇の付与は適正に行われていますか?

今後、年次有給休暇の取得奨励を進めるのに先立ち、まず行うべきは「有休の付与・消化状況の確認」です。

労働者に対して、適正な時期に正しい日数を付与できているでしょうか?
正社員だけでなく、パートやアルバイトにも有休付与を行っているでしょうか?


確認を進めてみると、意外と「付与日数が不足していた」「そもそも非正規労働者に付与していなかった」等の問題が浮き彫りになってくるものです。年次有給休暇の取得奨励を行う前に、まずはあらゆる課題を解消しておく必要があります。

また、労働者の年次有給休暇の消化状況を把握できているでしょうか?順調に有休消化が進んでいて十分な残日数がない場合、そもそも年次有給休暇の取得奨励が従業員のワクチン接種の後押しとならない可能性もあるため、別の検討が必要になるかもしれません。

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「【有休年5日取得義務化】従業員の有休取得状況を確認していますか?」

まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大からすでに一年以上が経過し、人的、資金的に余裕のない企業では諸々の対応に苦慮するケースも少なくありません。そんな現場で目指していただきたいのが、「既存の制度を最大限に活用した、無理のない取り組み」です。ワクチン接種の奨励に向けて特別な制度を創設する会社もありますが、必ずしもすべての企業が同じように対応できるわけではありません。

「効果的な対策として、従業員のために何か特別なことを」という意気込みこそが、コロナ対応へのハードルを高める可能性があります。まだまだ長期的な取り組みが想定されるコロナ対策、「できる範囲で、着実に」の姿勢で取り組んでいきませんか?

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