フレックスタイム制において、どこからが残業時間になるのか。フレックスタイム制と残業時間の関係について解説。
労務


フレックスタイム制は、「労働者の判断で始業・終業時間を選択できる」制度です。労働者側は自身の生活や健康に合わせて労働時間をコントロールでき、使用者側から見ても労働者の生産性の向上が期待できます。労使双方にメリットがあり、ぜひ導入を検討したいところです。

しかし、実際に導入した時に、悩ましいのが残業代の計算です。どこからが残業になるのか、というラインが一般的な認識と違うからです。

ここでは、フレックスタイム制の元における残業時間の考え方について、解説をさせていただきます。

この記事の目次

1、フレックスタイム制における月間の労働時間を計算する。

フレックスタイム制を行うと決めた時に、まず行うことは労使協定を結ぶことです。

労使協定例

ポイントは労使協定内で「清算期間の総労働時間」を決めることです。清算期間は一般的に1ヶ月なので、総労働時間は1ヶ月の所定労働時間と置き換えて理解しても良いでしょう。総労働時間は毎月〇時間と固定しても良いですし、計算式を用いて決めても構いません。

なお、週40時間×清算期間の暦日/7が上限となります。この計算方法で1ヶ月を清算期間とした総労働時間の上限は以下の通りです。

暦日31日・・・177.1時間
      30日・・・171.4時間
      29日・・・165.7時間
      28日・・・160.0時間


この労使間で決められた月の労働時間を超えたところが残業になります。つまり、その月の残業時間が決まるのは清算期間を迎えた日です。1日、あるいは1週間に労働した時間が多かったからすぐ残業となるわけではありません。

なお、働き方改革の一環で、フレックスタイム制の清算期間が3ヶ月まで認められるようになりました。1ヶ月を超える清算期間を用いる場合は、労使協定の労働基準監督署提出が必要です(1ヶ月以内であれば、届出は不要です)。

2、原則は1ヶ月毎に月間の労働時間を清算して、残業代を支給する。足りなければ控除しても良い。

清算期間で総労働時間が確定した時、総労働時間が決められた労働時間を超えたところから残業時間となります。前段でご紹介した上限の労働時間を下回る残業(つまり労使協定で決められた労働時間を超えたところから前段の各月毎の上限労働時間の間)は、割増をつける必要はなく、時給分を支給すれば良いことになります。そして上限を超えたところから、1.25倍以上の時間外割増が必要となります。

逆に、その月の総労働時間が決められた労働時間に足りなかったとしたら、その時間分は時給分控除しても良いのです。フレックスタイム制と言っても、労働時間そのものは決められており、労働者はその時間をきちんと認識しながら自身の労働時間をコントロールする必要があります。また、足りない分を控除する代わりに、次月に繰り越すことも可能です。(逆に超過した分を次月で調整することは不可)

3、休日労働や深夜労働は加算の対象となる。

フレックスタイム制であっても、休日労働や深夜労働は割増の対象となりますので、ご注意ください。

例えば、休日に労働を命じ、その時間だけ労働者が働いた場合、休日に働いた時間×1.35倍以上の休日割増が必要となります。その後、平日に代休を取得したとすると、その時間は労働時間に含まれません。つまり、代休以外の日は毎日同じ時間働いたとすると、その月の総労働時間は決められた労働時間よりも1日分少なくなるはずで、その分は控除して良いことになります。

つまり、休日労働によって発生する休日割増から1日分の時給を引いた金額を支給することになります。休日労働した時間が、通常平日に労働している時間と同じだとしたら、0.35以上の割増率に相当する金額のみが当月の給与にプラスされるということです。

なお、特にプログラマーやデザイナーに多い話として、「社員が勝手に休日や深夜に仕事をしてしまう」という相談があります。フレックスタイム制の中で夜型の生活をしていると、深夜の仕事が気にならない性質の方もいます。

しかし、社員の健康管理上、深夜や休日の労働は使用者としては避けるべきです。休日や深夜の労働については許可制にして、許可のない残業は認めない、というルールにするなどして、休日深夜労働に一定の歯止めを効かせることをお勧めします。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
フレックスタイム制の中での残業計算は、決められた労働時間を清算期間内で超過しているか、不足しているかをチェックすることが大事です。

特にスタートアップの企業だと、フレックスタイム制といいつつ、月の労働時間を正しく把握していないケースが散見されます。フレックスタイム制であっても残業は発生しますので、これを機会に労働時間管理方法を検討していただきたいと思います。

フレックスタイム制に対するご質問があれば、お気軽に社会保険労務士までご相談ください。

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