先月掲載した算定基礎届に加え、毎年行う必要のある手続きが、「労働保険の年度更新」。その手続き概要について記載いたします。
1.年度更新の概要
「労働保険」とは労災保険と雇用保険をまとめた総称。その更新手続きを毎年行う必要があり、年度ごとに区切って行っているため、「年度更新」と呼ばれています。同手続きでは、下記2点を同時に行います。
①確定保険料:前年度支払った雇用保険料と労災保険料の精算を行い、保険料の確定申告と不足分の納付を行います。
②概算保険料:上記①に加え、今年度分の保険料申告・納付を行います。
★本記事では、建設業や林業のような所謂「二元適用事業所」(労災・雇用保険の計算式が異なり、それぞれ分けて計算する必要がある業種)以外の会社様に焦点を当て、記載致します。
2.対象となる期間・期限
【期間】4月1日~翌年3月31日(この期間を保険年度と呼びます)【期限】原則7月10日(当日が土日祝日の場合はその翌営業日)までに手続き・納付
3.対象者の範囲
各保険によって対象者が異なりますのでご注意ください。①労災保険
適用事業所※の場合、常用・日雇・パート・アルバイト・派遣等の名称や雇用形態を問わず、労働の対象として賃金を受ける全ての方が対象となります。ただし、社長様や役員の方は対象外となりますが、役員の方であっても労働者としての賃金を受け取っている方(兼務役員)の場合は、役員報酬を除き、労働者としての賃金のみ対象となります。
※暫定任意適用事業(農林水産業のうち、個人事業で、従業員5人未満の会社様)は任意での加入となりますが、それ以外は全て適用事業所として扱われます。
②雇用保険
下記いずれにも該当する従業員は、原則加入です。
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・31日以上の雇用の見込みがある
※季節的雇用者(4か月以内で雇用される、もしくは、所定労働時間が週30時間未満で雇用されている方)、もしくは昼間学生は対象外となります。
★その他、対象となる範囲が会社様によって異なるケースもございますので疑問点ございましたら、弊社へお問い合わせください。
4.確定保険料の計算
計算が必要なものは前年度分の確定保険料の計算となります。①毎月の給与額と人数を算出。
②12か月分の給与総額(千円未満切り捨て)に、保険料率※を乗じて、確定保険料を算出します。
※保険料率:
・労災保険:業種により細かく分類されています。(2021年度の料率となります)
・雇用保険:2021年度の料率となります。
事業の種類 | 雇用保険率 |
---|---|
一般の事業 | 9/100 |
農林水産・清酒製造等の事業 | 11/100 |
建設等の事業 | 12/100 |
5.概算保険料
今年度の労災保険料と雇用保険料の支払予定額を計算します。本計算では、前年度の半額以上2倍以下の場合を除き、前年度の確定保険料額を今年度概算保険料額として計算することとなっています。6.計算後
会社様に届いている年度更新資料(緑の封筒)に入っている、「労働保険年度更新申告書」に記載、もしくは電子申請(弊社では電子申請を行っています)にて申告を行います。記載方法につきましては、下記資料をご覧ください。・厚生労働省「申告書の書き方」12ページ目以降
・同省公開の動画「令和3年度労働保険年度更新申告書の書き方(継続事業用編)」
★不明点ございましたら弊社にお問い合わせいただくか、もしくはご依頼いただくことも可能です。
7.申告後
行政にて審査を行い、労働保険料納付額の通知が届くため、金融機関等にて納付を行い、完了となります。本納付までを原則7月10日までに行うこととなっています。なお、納付額が40万円を超える場合(もしくは労働保険事務組合に加入している場合)は、3回に分けて納付することができます。
以上となります。
年に1回のお手続きとなりますので、疑問点ございましたらご連絡くださいませ。