厚生労働省Q&Aから確認!新型コロナウイルスワクチン接種に伴う労務管理上の取り扱い
労務


新型コロナウイルスワクチンの大規模接種が、いよいよ東京と大阪で開始されました。今後は高齢者だけでなく、幅広い年齢層にもワクチン接種が普及していくものと思われます。これに先立ち、企業において、従業員が安心してワクチンを接種できるような体制整備に努める必要があることは以前の記事で解説した通りです。
厚生労働省は、「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」を更新し、従業員のワクチン接種に際し現場で配慮すべき対応のポイントに言及しています。さっそく内容を確認しましょう。

関連:「2021年夏より開始予定の新型コロナウイルスワクチン一般接種!企業は「年次有給休暇付与状況」の再確認を」

この記事の目次

ワクチン接種に伴う副反応発生時の労災適用の取り扱い

「ワクチン接種により健康被害が生じた場合は労災適用になるか」という問いについて、厚労省は原則「労災保険給付の対象とならない」としています。これは、ワクチン接種が労働者の自由意思に基づくものであり、業務として行われるものとは認められないからという理由です。 ただし、医療従事者や高齢者施設等の従事者に係るワクチン接種については、以下の理由から、労災適用とされるものする方針を示しています。

・ 業務の特性として、新型コロナウイルスへのばく露の機会が極めて多く、医療従事者等の発症及び重症化 リスクの軽減は医療提供体制の確保のために必要である
・ 医療従事者等に係るワクチン接種は、医療機関等の事業主の事業目的の達成に資するもの


ワクチン接種や副反応に備えた、休暇制度の創設や労働時間の取扱い

企業として、従業員が安心してワクチン接種を検討し、必要に応じて接種できる環境を整えることは、職場の感染防止対策の観点から必要な取り組みとなります。これを実現するための具体的な取り組みとして、以前の記事で解説した内容とも重複しますが、労働者が任意に活用できる以下の制度創設が考えられます。

・ ワクチン接種や、副反応発生時の療養等に活用できる休暇制度の新設
・ 既存の病気休暇や、失効年休積立制度(※)の活用
※失効した年次有給休暇を積み立てて、病気で療養する場合等に使えるようにする制度
・ 特段のペナルティなく、労働者の中抜け(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認め、その分終業時刻の繰り下げを行うことなど)や出勤みなし(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認めた上で、その時間は通常どおり労働したものとして取り扱うこと)を認めること


もちろん、ワクチン接種が「労働者の自由意思に基づくもの」という観点でみれば、必ずしも会社が接種や副反応時の療養に係る期間を有給扱いとする必要はありません。ただし、従業員のワクチン接種を企業の安全配慮義務と捉えるならば、やはり有給扱いとしたり、労働時間の柔軟に取り扱ったりといった配慮は不可欠と言えましょう。

参考:厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)令和3年5月20日時点版」

新型コロナウイルスワクチンの接種費用は全額公費です

以上、本稿では新型コロナウイルスワクチン接種時の労災適用の考え方や、休暇制度、労働時間の取り扱いについて、厚生労働省のQ&Aを元に解説しました。この他、現場からよく挙がる質問として「会社がワクチン接種の費用を負担すべきか」がありますが、この点については、新型コロナウイルスワクチン接種は全額公費で行われますので会社が何かしらの費用を負担する必要はありません。

まとめ

ワクチン接種の普及に向け、企業においては早期に方針を検討しましょう。具体的には、ワクチン接種や副反応発生時に労働時間の取扱いをどうするか、制度新設や労働時間の柔軟な取り扱いをするのであれば、内容の検討と共に就業規則の変更や従業員への周知といった必要な取り組みを進めることになります。検討に際してご不明な点は、お気軽に社会保険労務士にご相談ください。

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