新型コロナウイルス感染拡大防止のための「昼休みの時差取得」、導入には労使協定締結を
労務


新型コロナウイルス感染症については、世界的大流行からすでに一年以上が経過しているものの、依然として予断を許さない状況が続きます。引き続き、企業においてはコロナ対応に目を向ける必要がありますが、ここで参考になるのが「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」です。今号では、2021年5月14日に改正された基本的対処方針に盛り込まれた「昼休みの時差取得」を進める上で必要な、労使協定について解説しましょう。

参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」

この記事の目次

新型コロナウイルス感染拡大防止に、なぜ「昼休みの時差取得」が有効?

新型コロナウイルス感染拡大防止には、「人の密集を避ける」ことが重要です。そのため、職場においては、昼休みの時間を分散させることで、休憩室や食堂、更衣室、喫煙室、エレベーターに人を集中させない工夫を講じることが有効とされています。

労基法上、休憩時間は「一斉付与」が原則です

意外と知られていないことですが、労働基準法では、休憩時間について一斉付与を原則としています。つまり、「労働者の皆さんが同じタイミングで休憩しましょうね」ということです。ただし、一斉に休憩をとってしまっては業務に支障が出る等の場合、例外的に、労使協定を締結することで一斉付与の適用除外とするケースもあります。労働基準法の定めを確認しましょう。


労働基準法第34条
使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
② 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。
③ 使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。


出典:e-Gov法令検索「労働基準法」

ただし、以下の特定業種では、休憩時間の一斉付与の適用除外となります。この場合、労働基準法第34条②の労使協定の締結は不要です。 ⇒ 官公署、接客娯楽業、通信業、映画・演劇業、金融・広告業、運輸交通業、保健衛生業、商業

「昼休みの時差取得」導入に向け、準備すべきことは?

新型コロナウイルス感染拡大防止のために、これから「昼休みの時差取得」を導入する場合、企業においては以下の取り組みが必要となります。

✓ 新たな昼休みの取得ルールと対象者の検討
✓ 労使協定の締結
✓ 就業規則の変更


昼休みの時差取得制度導入に際して締結が必要な労使協定は、「一斉休憩の適用除外に関する労使協定」です。協定書にはあらかじめ取り決めた「対象従業員」「新たな休憩時間のパターン」を盛り込みます。労働者の意向や職場の実情を踏まえ、適切な取決めができるようにしましょう。この労使協定は、労基署への届出不要です。

「一斉休憩の適用除外に関する労使協定」の様式は、以下よりご確認いただけます。

参考:神奈川労働局「労働基準法関係【参考書式(様式/記載例)】」

まとめ

「一斉休憩の適用除外に関する労使協定」は、数ある労使協定の中でも現場においてうっかり締結を失念しがちなもののひとつです。すでに休憩時間の時差取得を可能にしている場合はもちろん、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けてこれから制度を導入する現場でも、適切に労使協定を締結できるようにしましょう。

記事のキーワード*クリックすると関連記事が表示されます

メルマガ登録(毎週水曜配信)

SHARES LABの最新情報に加え、
経営に役立つ法制度の改正時事情報などをお送りします。