日弁連の電話相談で明らかになった、新型コロナウイルスワクチン接種にまつわる職場における不適切取扱事例
労務


新型コロナウイルス感染拡大については未だ予断を許さない状況が続きますが、日々報道等で見聞きする限りでは、日本におけるワクチン接種はぐんと普及してきているように感じられます。先日、私の手元にも自治体から接種券が届き、「いよいよだな」と実感しているところです。受けるか受けないか、しっかり検討して決めていこうと考えています。

そんな中、日本弁護士連合会(日弁連)が実施した「新型コロナウイルスワクチン予防接種に係る人権・差別問題ホットライン」実施結果では、職場における気になる実態が浮き彫りになっているようです。

この記事の目次

職場におけるワクチン接種の強制、接種しないことによる不利益的取扱いの実態が明らかに

日弁連は、2021年5月15~16日に実施した新型コロナウイルスワクチンに関する電話相談の実施結果を公表しています。これによると、2日間で実に208件の相談が寄せられ、接種の強制、不利益取扱い(自己決定権侵害)、差別などの人権侵害に関わる事例が明らかになったとのこと。事例の中には、未接種者に対する職場における不適切な取扱いも見受けられます。
さっそく、具体事例を確認しましょう。

ケース① ワクチンの強制・不利益的取扱い(又はそのおそれ)の事例

医療従事者を中心に、職場で接種を拒める雰囲気がなく、接種をしなければ退職や休職、配置転換等を求められるケースがあります。

・ 薬局勤務の労働者で、ワクチン接種しなかったところ、受付業務(対人業務)から後方業務に移された
・ 看護師が勤務先の病院で、「ワクチンを打ってコロナに罹患した場合には7割の給与を補償するが、受けずにコロナに罹患した場合には自己責任」と言われた
・ 介護職員が、施設からワクチンを「全員受けてくれ」「接種しなければ休職扱いとなる」と言われた



ケース② 同調圧力・差別に対する不安

ワクチン接種については、強制や不利益的取扱いまでとはいかずとも、職場における同調圧力も問題視されています。直接的な強制や不利益的取扱いがなくとも、実態として相手の意に反して接種を決断させるような行為は厳禁です。

・ アレルギー体質のため接種を拒否したが、職場から「打つと言わないと動きません」「(打たないのは) あなただけですよ」などと言われた
・ 医療機関において、接種しないと「ワクチンを受けていない奴が仕事する場じゃない」という雰囲気があり、のけ者にされる
・ 医療機関において、院長クラスから「受けないと駄目だよ」と言われた。総務課は「院長は接種義務はないことは認める」とのことだが、他の医師は「絶対受けないと駄目」と言われており、受けないと上司の医師の指導などが受けられないのではないか心配



参考:日本弁護士連合会「新型コロナウイルスワクチン予防接種に係る人権・差別問題ホットライン(2021年5月14日・15日)実施結果概要」

まとめ

労働者のワクチン接種勧奨は、職場における感染拡大を防ぐための事業主の安全配慮義務の一環として考えることができます。しかしながら、ワクチン接種があくまで個々の自由意思に基づくものでなければならない以上、会社が労働者に対して接種を強制したり、接種しないことで不利益的な取扱いをしたりすることはできません。

職場において、労働者のワクチン接種を進めるためには、以下の取り組みを通して、会社として接種推奨の立場を示すにとどめるのが得策です。

✓ 新型コロナウイルスワクチンに対する正しい情報提供を行う
✓ 労働者が安心してワクチン接種を検討できるよう社内制度を整備する
✓ 企業の職場接種の場を設ける(2021年7月2日時点では新規受付停止中)

労務管理の専門家である社労士と共に、御社の対応を検討していきませんか?

※関連記事:
「2021年夏より開始予定の新型コロナウイルスワクチン一般接種!企業は「年次有給休暇付与状況」の再確認を」

「新型コロナウイルスワクチンの職域接種が開始へ。ワクチン接種に伴う労務管理のポイント」

記事のキーワード*クリックすると関連記事が表示されます

メルマガ登録(毎週水曜配信)

SHARES LABの最新情報に加え、
経営に役立つ法制度の改正時事情報などをお送りします。