あなたの会社は大丈夫 ? 意外と知らない「就業規則変更の注意点」
労務

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就業規則作成時の意見書


就業規則の作成時、意見書の内容において求められているのは、「意見を聞く」というところまでであり「同意や合意を得る」ことまでを求めているものではありませんでした。
その為、反対の意見があってもその旨を正直に意見書に記載して それを添付して届出すれば、就業規則は受理されます。

参照 : 東京労働局ホームページ

一方で、実務上の経験として、頑なに就業規則に反対して故意に意見書が提出されない場合もあります。

原則は意見書の添付無しに就業規則の届出は受理されませんが、このような場合は、労働組合との対立や過半数代表者の優柔不断など、 どうしても「意見書作成に協力してもらえない」その経緯を「意見書不添付理由書」等として添付し、客観的に意見を聴いたことを証明すれば就業規則は受理されます。

では、タイトルにある「就業規則を変更」する場合ではどうでしょうか。
就業規則変更の意見書について説明していきます 。

就業規則作成時と変更時の違い


まず、過半数代表者に変更は無いでしょうか。
就業規則作成当時の労働者の過半数代表者がまだ在職し、過半数代表者のままであれば問題ありませんが、就業規則の作成を行った際の 労働者の過半数代表者が、すでに退職あるいは 管理監督者に昇進昇格しているケースも十分に考えられます。

この場合は、改めて過半数代表者を選びなおして変更部分について意見書を作成する必要があります。
就業規則を変更する場合ですが、基本的には作成時と同じく、変更後の就業規則とそれに対する意見書の添付が必要ですが、さらに変更の際には就業規則の変更内容が非常に重要になります。

最初の変更例


最初の変更例としては、所定休日を増やすなど労働者にとって有利な変更の場合があります。 このような場合は、作成時と同じく新しい就業規則と意見書の添付で問題なく届出ができるので問題にはなりにくいでしょう。

しかし一方で、従来支給してきた手当を「理由無く一方的に廃止してしまう」場合など 労働者にとって不利になる、いわゆる「不利益変更」と言われるものに 該当する変更の場合があります。この時に注意が必要になります。

この不利益変更は変更理由によって、「合理的理由があるもの」と「合理的理由がないもの」に分けられ、それがどちらになるのかによって必要な対応が分かれます。

「不利益変更」= 労働者にとって不利になる契約のこと


不利益変更に合理的理由がない場合


重要な労働条件を低下させる就業規則の変更は、労働者全員の同意が必要となってきます。 そのため、不利益となる変更を行う場合には、
変更しなければならない理由をよく説明して 労働者に同意を得てから変更する必要があります。

■ 労働者に同意を得ていただきたい「理由3つ」
① 労働契約法によって、労働者にとって不利益となる就業規則の変更をする場合
② 労働者にとって従来の労働契約で定めた労働条件よりも悪くなるため
③ 労働契約の変更合意を得るために、原則として各労働者の個別の同意が必要と定められているため

この場合は、届け出の際の添付は不要ですが、トラブル防止のために同意に関しては、できる限り労働者個人ごとに同意書を交わすことをおすすめします。
そして、労働者が自らの意志で同意することが前提ですので会社が同意を強制している場合は同意書自体が「無効」と判断されます。

つまり、初回届出時の意見書のように意見書の内容が反対意見であっても受理されるというものではなくなります。

・ 労働者個人ごとに同意書を交わすこと
・ 会社が同意を強制しないこと


不利益変更に合理的理由がある場合


合理的理由がある場合は個別の同意を得なくても意見書の添付をすることで問題ありません。 ただし、合理的な理由とは、経営者側の言い分だけではなく次のようになっています。

■ 判例からの引用

「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、 変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、 労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、 変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況 その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、 労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。」 さらに「合理的なもの」は以下のように示されています。

■ 合理的なもの6つ
① 就業規則の変更により労働者が被る不利益の程度
② 使用者側の変更の必要性の内容・程度
③ 変更後の就業規則の内容自体の相当性
④ 代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況
⑤ 労働組合等との交渉の経緯
⑥ 他の労働組合または他の従業員の対応

以上を総合考慮して判断すべきであるとされていて上記に該当すれば、就業規則の不利益変更をすることが可能になります。

つまり、この変更の場合の意見書では、 上記①~⑥までの内容に沿って話し合っていることが前提ですので、 反対意見の意見書とはなりにくいはずです。
このようにして変更された就業規則の効力は反対者に対しても及ぶようになります。

ただ、就業規則が変更された場合でも労働契約の内容を変更しない旨を 労働契約で定めた場合には不利益変更することはできません。
就業規則を変更する際は、変更内容が労働条件等の低下を含む場合は、 合理的理由が有るのか無いのかが重要になります。

不利益変更は原則認められず労働者全員の同意を得るか、 変更が「合理的なもの」であることが求められます。
不明点があれば、専門家に相談してみるといいでしょう。

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