ウーバーイーツが労災保険の特別加入制度の対象に。2021年9月から
労務


新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、食事のデリバリーサービスが一般的になる中、これに従事する自転車配達員によるトラブル事例が増加傾向にあります。もちろん、安全に配慮して配達業務に従事する方がほとんどではありますが、報道等で配達員の事故等を見聞きする機会は増えてきたように感じられます。こうした背景を受け、2021年9月より、「ウーバーイーツ」などの配達員が労災保険制度の適用対象に追加される見込みです。

この記事の目次

2021年9月より、労災保険の特別加入対象に追加される「2つの事業又は作業」

このたび、国民に対する意見募集や関係団体のヒアリング、労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会における議論から、以下の事業又は作業を行う労働者以外の者について、特別加入制度の対象となる一人親方等に追加することになりました。

① 原動機付自転車又は自転車を使用して行う貨物の運送の事業(第2種特別加入保険率:1000分の12を予定)
② 情報処理システムの設計等の情報処理に係る作業(第2種特別加入保険率:1000 分の3を予定)


「原動機付自転車を使用して行う貨物の運送の事業」については、これまで通達において特別加入の対象と認められてきましたが、このたび省令において明確に規定されました。

参考:厚生労働省「第98回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会資料」

特別加入対象に追加された2つの事業及び作業に係る労災発生状況

労災の発生状況について、①では「配達員が交差点を曲がろうとした際、直進してきた自動車と接触・転倒し、腰を強打し打撲、骨折」「タクシーのドアが開き、その突然開いたドアに配達員の自転車が追突したことによる打撲等」、②では「長時間のデスクワークや不規則な生活リズムによる心筋梗塞や狭心症、腰痛、ヘルニア」「長時間労働の過度なストレスによる精神障害、抑うつ等」「階段から落ちて足首を骨折、じん帯損傷等」があります。

今後、前項①②の事業及び作業に従事する個人事業主が特別加入団体に対して加入を申し込み、保険料を負担することによって、必要な治療を無料で受けられたり、休業時の補償を受けられたりするようになります。

労災保険の特別加入制度とは?

ところで、労災保険の特別加入は、通常の労災保険加入とどのように異なるのでしょうか?
本来、労災保険は労働者の業務または通勤による災害に対して保険給付を行う制度を指します。

一方で、特別加入とは、本来の労災保険適用対象となる労働者に該当しない個人事業主等の労働者以外に対し、業務の実態や災害の発生状況からみて、労働者に準じて保護することがふさわしいと見なされる者の労災保険加入を特別に認める制度です。特別加入の場合も、原則として通常の労災保険加入と同様の保険給付が行われます(一部例外あり)。

まとめ

かねてより議論されていたウーバーイーツ等の自転車配達員への労災適用について、ようやく結論が出されようとしています。ただし、労災適用として配達員の補償がされるようになるとはいえ、配達員の運転マナーに係る課題についてはまた別の観点から対応が求められます。労災保険適用の有無に関わらず、業務に従事する個々人のモラル、意識が重要であることは言うまでもありません。

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