離職票の難関、「離職日以前の賃金の支払状況」欄を正しく知ろう!
労務


離職票の記載は、実務者にとって難関となる書類の一つです。特に悩ましいのが「離職日以前の賃金の支払状況」の欄の記入です。記載方法についてはハローワークから、もしくは検索すればいろいろな例示があるのですが、離職者には様々なケースがあり、そのケースに対応する書き方までは示されていないことが多いです。

離職票全体の記入方法については他の例示に譲るとして、ここでは、離職票の中でも難関である離職日以前の賃金の支払状況欄について「原則として押さえておくべき法則」をお伝えいたします。離職票の記載の際、少しでも参考になれば幸いです。

この記事の目次

1、被保険者期間算定対象期間と賃金支払対象期間は違う

まず悩ましいのが(8)被保険者期間算定対象期間と(10)賃金支払対象期間の違いとその書き方です。これはそれぞれの期間を記載される目的から考えると理解しやすいです。



ハローワークHPより抜粋

(8)被保険者期間算定対象期間は基本手当(いわゆる失業手当)を得られる要件となる日数を出勤していたかどうかを確認するものです。基本手当の要件は「離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること(原則)」であり、ここで言う被保険者期間とは、「雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1か月ごとに区切っていた期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上(又は賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上)ある月を1か月と計算する」とされています。

つまり、1ヶ月に11日以上出勤していた月を数えるのが目的、と考えれば良いでしょう。ちなみに10日以内でも月80時間以上労働であれば、備考欄にその旨を記載すれば、11日出勤した月と同様の扱いとなります。

そのため、記載する期間は必ず1ヶ月毎になります。22日に退職をしたなら、前月23日~当月22日で一行を使うことになります。また、欠勤などがあり、11日未満の月があった場合は、11日以上出勤していた月が12回あるところまで遡ることになります。離職票の記載欄が足りない場合、2枚利用しても構いません。

この1ヶ月は離職日で区切るので、給与の締め日とは関係しません。よって、締め日以外で退職した場合、後に述べる(10)賃金支払対象期間の期間とは、ずれることになります。

(10)賃金支払対象期間は、基本手当の金額を算出するために用いるものです。そのため、こちらは給与締め日ごとの記載となります。つまり、給与締め日以外で退職をした場合、最初の一行は一ヶ月の期間になりません。また、基本手当は退職前6ヶ月の賃金で計算されるため、給与締め日より前の退職で日数が1ヶ月にならない月を除いて、賃金支払の基礎日数が11日以上(80時間以上)の月が6ヶ月になるまで遡って記載します。

11日未満の月があった場合でも、省略をすることはできません。ただし、長期に傷病手当金などを受け取って全休している場合は、傷病手当金の申請用紙の医師記入欄など、労務不能期間だった証明を添付することで、その期間の記載を省略することができます。

2、賃金支払対象期間に記載する金額は、その月の給与を正確に。

(12)賃金額も悩ましいところです。毎月同じ給与を支給する場合はそこまで難しくありませんが、割増賃金、通勤交通費、基本給の計算対象期間が違う場合は注意が必要です。

先に答えをお伝えしておくと、離職票に記載する賃金はその期間に発生した金額を正確に記載する、と理解しましょう。同じ給与の中でも、残業代や通勤交通費の期間と、基本給や諸手当など固定給の期間が違う場合、離職票のために計算をし直す必要があります。給与明細や賃金台帳に記載された金額とは変わる可能性があるということです。

具体例を挙げます。固定給は当月20日締めで、残業代は前月末締めでそれぞれの金額を当月25日に支給している場合です。固定給と残業代の計算対象期間がずれることになります。この場合は、そもそも(10)賃金支払対象期間は固定給、残業代どちらの期間を記載し、(12)賃金額はどのように計算すれば良いのでしょうか。

実は(10)賃金支払対象期間は残業代計算期間の1日~末日で記載しても、固定給計算期間の前月21日~当月20日で記載しても、どちらでも間違いはありません。なぜなら、期間をどちらで記載するかが大事ではなく、その期間に発生した賃金が正しく記載されているかどうかが大事だからです。

実務上は残業代の計算期間である1日~末日で記載した方がわかりやすいです。固定給の計算期間である前月21日~当月20日で記載した場合、残業代をこの期間で計算し直す必要があると言えば、その面倒さがわかるでしょう。

残業代の計算期間で記載すれば、固定給分は毎月同じ金額になるはずです。最後の6ヶ月で固定給に変動があった場合および退職月のみ、給与明細の金額と変わることになります。例えば上記の計算期間で20日に退職した場合、最後の固定給は賃金台帳上で満額支給されているはずですが、離職票の賃金支払対象期間は1日~末日なので、1日~20日分を計算して、その金額を記載することになります。

通勤交通費も離職票の賃金に含みます。1ヶ月毎に支給しているのであれば、賃金台帳と同じで良いのですが、3ヶ月定期や6ヶ月定期分の金額をその都度支給している場合は、その定期券の期間の金額を按分して、それぞれの月に支給する必要があります。端数は最後の月に乗せます。

ちなみに賃金額A欄が月給者、B欄は時給・日給者の記載となります。

3、欠勤控除は備考欄で補足説明を

さらに欠勤控除があった場合、その日数は基礎日数から差し引き、その金額も同様に減額します。この場合も離職票の賃金期間に減額された金額を正確に表す必要があります。2項の会社で前月31日~当月2日まで3日間欠勤があった場合、固定給計算期間で3日間の欠勤控除が1回の給与期間でされていたとしても、離職票上は31日の欠勤と1~2日の欠勤は分けて計算する必要があります。

欠勤控除については、欠勤日数と欠勤控除の計算方法を備考欄に記載しておきます。欠勤控除の計算方法は各会社で揺れがあるため、その記載が無いと、欠勤控除をしているかどうかの判断がつかないためです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
(8)被保険者期間算定対象期間と(10)賃金支払対象期間の記載は、その記載する目的を頭に入れておくと理解しやすいです。賃金額は(10)賃金支払対象期間に発生した金額を正しく書くようにしてください。

迷ったら、ハローワーク側に確認をしてください。また備考欄になぜその期間、金額になるのか、理由を記載しておくと良いでしょう。

ここに記載されている期間や金額が正しくないと、ハローワーク側の基本手当の計算が間違うことになります。下手すると、受給資格の有無まで影響する可能性まであります。その書面に離職者の生活がかかっていますので、正確な記載を意識していただきたいと思います。

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