感染拡大抑止に職場でのコロナ検査を。厚生労働省公開「職場における積極的な検査等の実施手順」を確認
労務


新型コロナウイルス感染拡大は依然として収束に向かうことなく、東京都では4度目の緊急事態宣言発令となります。こうした状況を受け、経団連から企業に対し「職場における積極的な検査等の実施への協力のお願い」が発出され、これに関連して厚生労働省からは、職場における抗原検査簡易キット等を活用した検査等を実施する際の実施手順が公開されました。

この記事の目次
参考:厚生労働省「職場における積極的な検査等の実施手順(第2版)について」

職場でのコロナ検査実施に向けた準備とは?

職場における簡易抗原検査の活用は、職場内における早期の感染者把握、感染拡大抑止につながる重要なアクションです。実施上の注意点に留意して、適切な形で行えるよう準備を進めましょう。

今号でご紹介する厚生労働省公開の実施手順では、「事業所内に診療所が所在する場合」「事業所内に診療所が所在しない場合(職場での検査実施の場合)」「事業所内に診療所が所在しない場合(連携医療機関での検査実施の場合)」のケース別に、検査実施方法や検査後の対応に言及しています。

職場で検査を実施する場合、おそらくほとんどの事業場が「事業所内に診療所が所在しない場合(職場での検査実施の場合)」に該当するかと思います。この場合の事前準備として、以下が挙げられています。

✓ 連携医療機関の確保
✓ 抗原簡易キットの選定・保管・使用に関わる十分な理解(連携医療機関からの助言)
✓ 本人の同意を得た上で検査を管理する従業員の選定・研修の実施



事業主は、検査を管理する従業員がいることや連携医療機関の名称などについての確認書を医薬品卸売販売業者へ提出することで、職場実施分の抗原簡易キットを入手できます。

併せて、以下の取り組みも職場内での感染拡大抑止には不可欠です。

・従業員の毎日の健康状態を把握するための健康観察アプリの導入を検討
・職場内で検査を行う場合でも、自覚症状のある従業員に対しては職場での検査実施を待たずに 医療機関の受診を優先させるよう徹底

簡易検査での陽性者判明時の対応についても改めて確認

職場内検査は、実施すること自体だけでなく、いざ従業員の中から陽性者が出た時の対応もまた肝心です。厚生労働省公開の実施手順では、職場で行う簡易抗原検査で従業員の中に陽性者が出た際の対応、陽性者との接触者・周辺の検査対象者の取扱いについても解説されています。ここでは項目のみ挙げることとしますので、現場においては実施手順等を参考にして適切にご対応ください。

✓ 陽性者に対し、事業所の責任者が連携医療機関を紹介
✓ 連携医療機関の医師が診療・診断を行い、患者と診断されれば、当該医療機関から保健所に届出
✓ いずれの場合でも、当該陽性判明者は帰宅・出勤停止し、医師による診断で感染性がないとされ、症状が軽快するまで療養
✓ 陽性従業員の「初動対応における接触者」を自主的に特定、感染拡大防止策を講じる



参考:厚生労働者「「初動対応における接触者」の自主的な特定の基準」

PCR検査、抗原検査、抗体検査の違いとは?

厚生労働省公開の実施手順で推奨されているのは、簡易キットを用いた抗原検査です。ところで、新型コロナウイルス関連で頻繁に耳にする検査には、抗原検査の他、PCR検査、抗体検査がありますが、これらの検査はそれぞれどのようなものなのか、どんな違いがあるか、ご存知でしょうか?
それぞれの目的や方法等を、以下でざっくりと把握しておきましょう。

■ 現在感染しているかどうかの確認
・PCR検査
⇒検査方法:鼻や咽頭を拭って細胞を採取、もしくは唾液を採取
判定までの時間:数時間から数日間(実施機関による)
精度:高い

・抗原検査
⇒検査方法:鼻や咽頭を拭って細胞を採取
判定までの時間:15~30分
制度:PCR検査に劣る

■ 過去に感染したことがあるかの確認
・抗体検査
⇒検査方法:採血により血液を採取
判定までの時間:15分程度(実施機関による)
精度:現在感染しているかどうかの判定にはならない
風邪ウイルスの抗体に反応する場合あり
発症2週間未満の場合、抗体が検出されない場合あり



PCR検査、抗原検査と抗体検査ではそもそも目的が異なること、また。PCR検査と抗原検査では判定時間や精度の面で違いがあること等を理解した上で、各人にとって必要かつ適切な検査が実施できるのが理想です。

まとめ

職場における新型コロナウイルス感染対策として、すでに職場の環境整備や労務管理徹底、必要な社内制度の創設等に対応されている現場がほとんどかと思います。ところが、最近ではこれらに加え、今号でご紹介した職場内検査、さらにワクチンの職場接種実施が話題に挙がるようになり、企業においては何にどの程度対応するべきなのか、頭を悩ませるところだと思います。

もちろん、会社として従業員の健康確保、安全配慮の観点から最大限の取り組みが講じられることが理想ですが、一方で、良かれと考えて準備した取り組みが従業員の意向を無視して行われることになるのは問題です。とりわけ、検査の実施やワクチン接種は強制できるものではありませんから、現場において慎重な対応が求められることは言うまでもありません。

首都圏を中心に依然として感染拡大が止まぬ中、新型コロナ対応にお悩みの会社は、ぜひ社会保険労務士とご一緒に、御社の実情に合った対応を検討してまいりましょう!

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