2021年度地域別最低賃金の大幅引き上げに向け、知っておくべき「最低賃金の減額の特例許可申請」
労務


以前の記事では、2021年度地域別最低賃金について、中央最低賃金審議会では「全国一律28円」の大幅引き上げの目安が示された旨を解説しました。これを受け、現在各都道府県の地方最低賃金審議会において調査審議が進められています。今秋以降の地域別最低賃金は、大幅引き上げとなるのでしょうか?企業においてはどのような対応が求められるのでしょうか?

この記事の目次

東京の最低賃金は、10月1日から「1,041円」へ

最低賃金引き上げに向け、東京都では、以下の通り「東京都最低賃金審議会の意見に関する公示」がありました。現在、東京都の区域内で事業を営む使用者又はこれに使用される労働者(これらの者の団体を含む)からの異議申し立てが受け付けられています。

1.適用する地域
東京都の区域

2.適用する使用者
前号の地域内で事業を営む使用者

3.適用する労働者
前号の使用者に使用される労働者

4.前号の労働者に係る最低賃金額
1時間1,041円

5.この最低賃金において賃金に算入しないもの
精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

6.効力発生の日
令和3年10月1日



参考:東京労働局「東京都最低賃金審議会の意見に関する公示」

試用期間中も、原則は「最低賃金」以上の賃金設定

最低賃金の大幅引き上げに伴い、秋以降、従来の賃金設定では最低賃金を下回るケースも出てくるかもしれません。特に注意すべきは、試用期間中に賃金を減じる取り扱いをしている場合です。試用期間中であっても、原則は最低賃金未満の賃金設定はできませんから、事業場において賃金の見直しを行う必要があります。

ただし、合理性があると認められる場合に限り、都道府県労働局長の許可を条件として、試用期間中の賃金を最低賃金未満にできる場合もあります。具体的には以下のケースが想定され、実態に鑑み判断されます。

① 申請のあった業種又は職種の本採用労働者の賃金水準が最低賃金額と同程度であること

② 申請のあった業種又は職種の本採用労働者に比較して、試の使用期間中の労働者の賃金を著しく低額に定める慣行が存在することなど減額対象労働者の賃金を最低賃金額未満とすることに合理性があること


参考:厚生労働省「最低賃金の減額の特例許可申請について ~「試の使用期間中の者」(最低賃金法第 7 条第2号)~」

申請に際し、使用者は「減額率」「支払おうとする賃金の額」を設定します。ただし、減額できる率の上限となる数値は20%、減額できる期間は最長6ヵ月として必要最小限度に定める等の制限がありますので、注意が必要です。

例外的に最低賃金未満の賃金設定とするためには、特例許可申請が必要

最低賃金の減額の特例許可申請は、試用期間中の者の他、以下の場合にも認められます。

・ 精神または身体の障がいにより著しく労働能力の低い者
・ 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている者のうち厚生労働省令で定める者
・ 軽易な業務に従事する者
・ 断続的労働に従事する者

ただし、いずれの場合にも、都道府県労働局長宛に特例許可申請をし、許可を受ける必要があります。その際、単に「障がいがある」「試用期間中である」等、その状態にあるという理由だけでは認められず、実態に応じて判断されます。

参考:厚生労働省「最低賃金の減額の特例許可申請書様式・記入要領」

まとめ

今秋の最低賃金引き上げを想定し、準備を進めましょう。今号で解説した最低賃金減額の特例許可申請については、適用要件を十分に理解した上で、制度を正しく活用できるのが理想です。間違っても、「試用期間中だから」という理由だけで、許可を受けずに最低賃金を下回る賃金設定をすることのない様、ご注意ください。

記事のキーワード*クリックすると関連記事が表示されます

メルマガ登録(毎週水曜配信)

SHARES LABの最新情報に加え、
経営に役立つ法制度の改正時事情報などをお送りします。